とても大好きなご主人と、離れ離れになってしまった…。
理由は、「ヒト」の事情で、僕にはよくわからなかった。
大好きなご主人は、別れる最後の最後まで泣いていた。そして、僕自身も。
「今日から君は僕の友達だよ、」と、優しく笑いながら
手を差し伸べてくれたことを、今でも鮮明に覚えている。
そして、大好きなご主人の「おかあさん」と「おとうさん」も優しい人だった。
だけど、少し前に「おかあさん」と「おとうさん」が大声で喧嘩をしていたことも覚えていた。
何があったのかは分からないけれど、その数日後には
今までの「おとうさん」は何処かへ行ってしまい、新しい「男のヒト」がいた。
そして、その「男のヒト」は、僕を見るなり
「おい、なんだコイツは・・・、こんなポケモンはいらないだろ、逃がせ。」と言ったのだ。
その男の連れているポケモンは、何処と無く強そうな気がした。
ご主人は「嫌だよ!僕の大切な友達なんだ!」と反論し、
「おかあさん」はその様子を見てうろたえるばかりだった。
そして、ある日、外に出かけたときだ。いたのは僕と、ご主人と「男のヒト」。
「男のヒト」はご主人の隙を見て、僕にこう言った。
「俺達はもう帰る。ついて来たら・・・わかってるな。」
キョトンとする僕を見て、
「お前がついてきたらあいつが俺に叱られるんだぞ、」
そう言ってチラつく強そうなポケモン。
「ほら、帰るぞ。」そう言ってご主人を無理やり連れて行く。
「あれっ?僕のポケモンは・・・?」
「アイツは、帰らないみたいだぞ。」ニヤりと笑いながら、脅されて困っている僕を指差した。
「待ってよ!ほら、帰るよ、来て!」そう言われても、僕がついていったら・・・
僕は、泣きながらその場を走り去った。
「待って!」と叫ぶ大好きなだった声を聞きながら・・・
あれから何日経ったのかな?ご主人は僕を探してくれてるかな・・・
家に戻りたくても、帰る事が出来なかった。
お腹がすいたな・・・最近、何も口にしていない。水さえも・・・
…微かに水の匂いがする。此処は・・・?良かった。湖がある。辺りは霧が立ち込めている。
静かに湖へと入る。全身の力が抜けるようだった。
少しずつ体が沈んでいく。
遠くなる水面・・・
遠くで懐かしい声が聞こえた、様な気がした。
不思議と安心したような、そんな気持ちになる。
そして、僕はゆっくりと目を閉じた。
生まれ変わったら、僕はまた、大好きなご主人に会いたい・・・
作 初代スレ>>993-994
最終更新:2007年10月20日 17:08