[ポケモン視点]

さようならの意味を知ったのは最近の事だった。

主人である小さな人間は、泣きながら何度もその言葉を繰り返した。
それは俺が初めて聞いた彼女の悲鳴だったのかもしれない。

ポロポロ溢れる涙を舐めると少ししょっぱくて、美味いもんじゃなかった。
主人はもっと泣いた。

どうして泣いているんだ。
誰にイジメられた?

俺があんたを守るよ。

だからなかないで。


夕日が落ちて、泣きながら歩く主人の背中を見送って
俺はたぶん少し泣いた。

明日、主人が笑えばいい。
俺を思い出して泣かなければいいな。

どうでもいいから幸せになってください。
あんなに泣かれれば、生まれてきた意味も価値も十分貰えたから。

おれはけっこうしあわせだったから



[主人視点]

私より頭一個大きくて、あったかくて、もふもふしてる。
私が一番最初にお友達になったポケモン。

知らないお兄ちゃんが『こんなのいらない』って川に捨てたの、
なにかと思って棒で引き寄せてみたら、見たことない大きな卵だった。
それから孵ったのが、この子。

私たちずっと一緒。

でも、さようならなの。

パパとママがさようならして、
私もパパとママとはさようなら。

大きくて白い、たくさん子供が居る家に行かなきゃいけないから。

一緒に行きたかったのに、みんなが駄目だって言うから。
連れてきたら『しょぶん』するって言うから。

だから、私からさよならするの。

ごめんねだいすきさようなら


作 2代目スレ>>38-39

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最終更新:2007年10月24日 19:24