「いらない」という理由で捨てられた方が、
「どうしようもなくて」捨てられるより、幾分マシだと思うのは傲慢だろうか。
優しい主人は高齢で、寿命が来て、死んでしまった。
優しい主人の優しい妻も、息子のいる都会へ行く。
仕方ないんだろう。
俺は無駄に図体がデカイ上に馬鹿みたいに食ってばかりだ。
(そういう生き物として生まれちまったんだ、仕方ない)
主人はそこらへんの事情もわかった上で俺をパートナーに選んでくれたけど、
やっぱり、俺って面倒な生き物だ。
ごめんよぅってションボリしている老婆に、籠一杯の木の実を貰って
俺は山に入っていった。
誰も恨めないって結構辛い。
悪い人がいないってだいぶ辛い。
明日からご飯どうしよう。
俺はからっぽの籠を引っくり返しながら途方にくれた。
(ああ、一個くらい土に埋めときゃ良かった!)
作 2代目スレ>>113
最終更新:2007年11月04日 22:50