「バイバイ、フワンテ」
なんのことかわからないうちに、僕は外へほおりだされた。
卵からかえって、どんな世界が僕を待ってるのかな。
そんなことを考えていた僕。
ふと、お父さんが、卵のときに僕に言ってた事を思い出す。
「フワンテは、きらわれる」
僕がいま、こうして外にひとりでいるのは、フワンテだから?
寂しいよ。寂しいよ。
そんなとき、天から声が聞こえた。
「こっち来んさい!」
その声のほうを振り向いたら、ふっと気が遠くなった。
目がさめると、僕は騒がしい部屋のなかにいた。
ふと見回すと、たくさんのフワンテが。
「目がさめた?」
女の子が僕に声をかける。
女の子は小さな機械に目を通すと、箱からポフィンを取り出して、
僕にくれた。僕の好きな「あまいポフィン」。
「ここは、ビッグママの家」
女の子はそう言った。ビッグママというのは、
その女の子に命令をする、マスターなんだそうだ。
でもなんでこんなに、フワンテばかりいっぱいいるんだろう。
そんな僕の気持ちを見透かすように、女の子が言う。
ビッグママは、足跡からポケモンの気持ちを読む人から、
フワンテの気持ちを何気なく聞いた。
その内容は、フワンテは人から嫌われること、
そして、ビッグママがフワンテを好きになったことへの感謝。
ビッグママは泣いて、ずかんとか、
強いポケモンとかどうでもよくなって、
フワンテを幸せにすることを決めたのだとか。
「それ以来、フワンテを見ると私に連れてこさせるの」
別のフワンテをなでながら、女の子はそう言って笑った。
そして僕も、そのフワンテたちと一緒に暮らすことになった。
それから何十年かの時がたち、寒い寒い冬の日。
ビックママが永い眠りについた。
フワンテとフワライドたちは、ビッグママをそっとかついで、
ゆっくりゆっくり天へ登っていく。
そして、あの世の「すてきな場所」にたてておいたお家に、
ビッグママを連れていった。
目をさましたビッグママは、とても驚いたけど、
それがフワンテたちからのプレゼントであることにすぐ気がついた。
「[[ありがとう]]」と声をかけ、フワンテたちを撫でていく。
そして、小さな家に、フワンテに連れられた1人の男性の姿が。
ビッグママより先に天に召された、旦那さんが、
出会ったころの姿で、フワンテに手をひかれて立っていた。
ビッグママもその頃の姿に戻っていた。
そして、ビッグママのお父さん、お母さん、大好きな人たち。
みんながフワンテに連れられて集まっていた。
終わらない時間の中で、ずっとずっと笑顔で。
2匹目スレ 63-65
最終更新:2007年11月05日 16:55