大久保 隆弘
本書の内容は、昨今、各社が開発を競っているリチウムイオン電池に関するものですが、
どのような電池を作るかではなくてどのような戦略が望ましいかに焦点を当てたものです。
小川紘一さんの”国際標準化と事業戦略”を読まれてから
本書を読むと非常に理解しやすいと思います。
日本は垂直統合型(部品ごとの整合性をはかる)を得意としておりますが、
産業が成熟してきますと水平分業型(部品のモジュラー化)が主流になります。
水平分業型は日本が苦手とするところであり、
過去にカーナビ・デジカメ・半導体などでシェアを奪われています。
このままでは電池でもシェアを奪われてしまうのではないかと
大久保さんも非常に懸念しております。
日本は国内での過当競争に精を出しすぎて国際標準化できていないため、
外国に基幹部品を作られ国際シェアを落としています。
日本の市場は世界で見ると5%しかないのですが・・・。
リチウムイオン電池の競争は電池というデバイスではなく、
それを価値に変える製品の闘いでもあります。
過去の惨敗を教訓に活かして是非この分野で覇権を取って欲しいです。
2011.1.2 ★★★★★
最終更新:2011年01月16日 09:40