18:有理は走った。
既にやる気の奴がいる。それが分かったからだ。
humaさんを殺したのは多分人狼だろう。そう考えたから有理は走った。
走って走って走ったところで、男に会った。
「おや」
男はボウガンを右手に持ち、学ランの胸ポケットにそれと分かるよう村人カードを貼り付けている。
「有理は村人?」
09:taraは、にこにことしながら、油断無くボウガンを有理に向けて問う。
「……はい」
「見せて。ああ、ゆっくりね」
有理は言われた通り、ゆっくりとした動作で村人カードを取り出す。
「ああよかった。やっぱり私は運がいいな」
taraはボウガンを下ろすと、左手でおいでおいでをする。
有理は行くか逃げるか考えた後、taraへと近付いた。
「有理の武器は何?」
「……これです」
バックパックから取り出されたのは、給食用のフォークだった。
「あはは。それじゃ自分の身も守れないよね。私と一緒に行動した方がいいんじゃないかな」
「……そうですね」
「うん、それがいい。それじゃ行こっか」
「……どこにです?」
有理が気付かれないよう、ボウガンに視線を向ける。トリガーに人差し指がかかっており、それはいつでも発射出来るように思えた。
「近くに小屋があるんだ。休んだりするのにいいんじゃないかな。疲れてるだろう?」
「……はい」
「行こう」
taraは微笑み、ついてくるよう促す。
有理はこくんと頷くと、taraの視線を受けながら歩き出した。
【残り18人】
「yorozuyaさんは人狼ですよね?」
「いいえ、違います」
20:yorozuyaが村人カードを出すと、19:euroはディス・マシンガンの銃口を下ろす。
「ああ良かった、俺はyorozuyaさんを信じてましたよ」
「嘘ばっかり」
浴びせられる冷ややかな視線を、euroは好青年笑いで受け流す。大学で擬態して行く為に身につけられた、誰にでも好印象を与える笑みだ。
「取り敢えず、射線が確保出来なさそうなところまで走りましょうか」
「そうですね」
そう言って、二人は走り出す。
しばらく走ると、いい感じに視界が悪く、芝生が生えた場所を見つけたのでそこでこれからのことを話すことにした。
「何だか大変なことになりましたね」
「そうですね」
「セーラー服姿のyorozu」
「殴りますよ?」
「冗談です」
euroはバックパックから水筒を出すと、水分を補給する。
「huma君、死んじゃいましたね」
「会ったことあるんですか?」
「いや、今回初めて会いましたけど」
「そうですか」
蓋を閉め、バックパックへ水筒を仕舞うeuro。
「えーっと」
「それ」
yorozuyaは、euroの持つディス・マシンガンを指す。
「見せて貰っていいですか?」
「ああ、いいですよ」
村人が村人を殺しても意味がないと思ったのか、euroは無警戒にそれを渡した。
「結構重いですね」
「女の人が持ち歩くには向きませんね」
「これを持って、あれだけ走れるんですか」
「バスケやってましたし。まあ、もしそれをyorozuyaさんが持ち逃げしようとしても、走って追いつくぐらいは出来るんじゃないかな」
「そうですか」
yorozuyaは片手にディス・マシンガンを携えたまま、バックパックから一枚のカードを取り出す。
「あの、これ」
「げ」
そのカードには、人狼、と書かれていた。
【残り18人】