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04:一真はアイスピックで氷を削っていた。
ガッシュ、ガッシュ、ガッシュ。
それが手頃なサイズになるとグラスに移し、そこへ酒を注いでいく。

「悪いな」
「いえ」

10:男爵はそれを受け取ると、ちびちびと舐めるように味わい始める。

「……」
「……」

そこは、寂れた酒場だった。
酒があり、電気や水道も通っている。
拠点に選ぶには十分過ぎる好条件の場所だ。

「……」
「……」

会話もなく、手持ち無沙汰な一真はアイスピックでガッシュガッシュとロックアイスを削り始める。

「……」
「……」

カラン、とグラスの中で氷が鳴った。
味わいのある音だが、学ランを着た中学生と三十路の男しかいない酒場では味わいも何もない。
ただ、そこには沈黙があった。
見る者にとっては重い、だとか気不味い、だとかの形容詞がつくであろう。

「……飲まないのか?」
「ああ、はい。ウィスキーボンボンすら無理なんで」
「……そうか」
「……」
「……」

男爵はちびちびと酒を舐めながら、チーズたらを食べる。

「……」
「……」

酒場には家電類の稼働音と、一真が氷を削る音と、グラスと氷がぶつかる音だけ。

「男爵さんは」
「うん?」
「武器は、何を支給されたんですか?」
「原子力空母と搭載機および乗員一式」
「……えーっと、それは凄いですね」
「凄いは凄いが、現在日本海上を漂ってるらしい。ここは山の中で、連絡手段は何もない」
「……つまり、何もないのと同じってことですか?」
「そうでなきゃ、此処に来て火炎瓶なんか作ってないな」

男爵が視線を向けた先には、九十度以上の酒を選りすぐって作った火炎瓶が幾つも置いてあった。

「男爵さんは、人狼が来たらそれで戦うんですよね」
「どうするかな。メンドイ。一真、お前が戦え」
「ええ……?」

そう言われて、一真は困惑する。

「だって、相手は伯爵だぞ。面倒だろ」
「え? 伯爵さんが人狼なんですか?」
「名簿を良く見てみろ」
「あれ、名簿なんてありましたか?」
「教室に置いてあっただろ。ほら」

一真は、差し出されたそれを見る。

「良く見てみろ。こんなもん、humaを殺すのは伯爵しかいないだろ」
「そうですか……? 一応AICEさんからはんぐりさんまで可能性はあると思いますが」
「いや、どう考えても伯爵だろ。番号近いし。こんなもん伯爵がやったに決まってる」
「そうですか……」

男爵さんがそう言うのなら、そうなのかも知れない。
伯爵さんには気を付けよう。一真はそう思い、アイスピックで氷を砕く。

「おい一真、ちょっと伯爵殺して来てくれ」
「ええ……?」
「火炎瓶を投げるなり、アイスピックで一突きするなり、方法は何でもいい」
「でも、村人だったらどうするんですか」
「奴が人狼なら、humaから奪った村人カードを持ってるはずだ。殺してからゆっくりと確かめればいい」
「いや、伯爵さんが村人でも、村人カードは出て来ますよね」
「そんなのは些細なことだ。と言うかこんなもん、伯爵が人狼じゃない訳ないだろ。humaが死んでるんだから」
「はあ……」

そして話すことがなくなったのか、再び酒場は静かな音に包まれた。

【残り17人】


「しかし、こういう格好をしてると、若返った気がしますな」
「そうですか。正直私は、余りそういう趣味はないのですが」

11:提督と05:xiwongが並んで歩いていた。
提督の手には猟銃、xiwongさんの手にはポンプ式のショットガンが握られている。

「それにしてもまさか、こんなことになるなんて。世の中は不思議なことでいっぱいですな」
「そうですね。私もまさか、こんな悪趣味な催しに巻き込まれるとは思いませんでした」

二人は慎重に長銃を構え、森の中を歩いて行く。
ふと、視界に光る何かが入った。

「今、何か……」
「誰かいますね」

xiwongは提督を手で制して、軽く地面に伏せる。

「二人、人がいるのかな」
「euroさまと、yorozuyaさまですね。二人とも人狼、と言う確率は低いと思います。カードを出して、接触してみましょうか」
「そうですな」

提督とxiwongは村人と書かれたカードを取り出すと、慎重に二人へと近付いて行った。

【残り17人】

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最終更新:2008年10月11日 00:41