「歩けども、歩けども、人の姿はなし。運がいいのか、悪いのか」
「geminiの運が悪くても、俺の運は普通だから大丈夫にゃ」
「私も、運はいい方ー」
geminiと、andanteを抱いたまなは森の中を歩いていた。
何にせよ、誰かと接触しないことには始まらないからだ。
「ところでまな君は、どうして俺達の居場所が分かったの?」
「ああ、えっと。何だか美味しそうな匂いがしたんです」
「……これがgeminiが良く初回襲撃される秘密か」
「な・め・ん・な」
geminiは、フラワーロックのような笑顔を一人と一匹に向ける。
「しかし、まなは実際運がいいにゃ。俺達と会えたんだから」
「うん。andanteさん、大好きー」
「いやだからちょっと強い強い強いっておうふゲフッ」
「割と本気でandante死にそうだから、緩めておやり」
「は~い」
そう返事をすると、まなはandanteのふわふわボディに頬擦りをする。
「ああっ、俺の自慢の毛並みがー。にゃー」
「えへへ」
その光景を見て、geminiは優しい笑みを漏らす。
その時。
「げはぁっ」
不意にgeminiが吹っ飛ぶようにして倒れた。
「geminiィーーーッ!!!」
「geminiさんっ!!」
一人と一匹は、慌ててgeminiに駆け寄る。
「敵にゃ!? 人狼にゃ!? どこにゃ!? せめてそれを伝えてから死んでくれにゃ!」
「geminiさんっ、geminiさんっ!」
andanteは切羽詰まった顔で、まなは泣きそうな顔で倒れたgeminiを揺さぶる。
「だ、大丈夫や。防弾チョッキのお陰で助かった。多分、無ければ普通に死んでた」
「一体何があったんだ、gemini! 言え! 言うんにゃ!」
「大丈夫ですか!? 怪我ないですか!? 本当に大丈夫ですか? 頭とか打ってませんか!?」
geminiは一人と一匹を宥めるよう、落ち着いた声色で言う。
「大丈夫。これは恐らく……流れ弾や」
そう言った瞬間、アナウンスが聞こえてくる。
『11:提督、19:euro、20:yorozuyaが死亡しました。残り、14人です』
「にゃんだって!?」
「多分、その戦闘の流れ弾だろうな。と言うか、どういう確率だろうなこれ。本当に悪意に満ちてるな、この世界」
「……そんな。人狼は、やる気なんですね」
まなは、悲しそうに目を伏せて呟く。
「そうだね。生きる為に必死なんだろう。だからまな君、それが敵なら……躊躇わずに撃て」
「…………。はい」
「と言うか、geminiが戦えにゃ」
「だから、俺は武器がないんだよ! リボルバーは弾出ないんだよ!」
「情けない奴にゃ」
「猫のandanteに言われたくねぇ!!!」
geminiとandanteのじゃれ合いを見て、まなはくすりと笑った。
『11:提督、19:euro、20:yorozuyaが死亡しました。残り、14人です』
かたん。ティーカップが倒れ、琥珀色の液体が机の上に広がった。
「あ、え、えーっと、snoweさん」
「……現実味が、沸きませんね」
「そ、そうですね。と言うかそもそも何かコスプレ喫茶みたいなことになってますね、と言うかそうじゃなくイヤつまりその」
「大丈夫です」
snoweはそう言って微笑む。
「結局、一番大事なのは自分の身ですから」
「あ、いや、エートsnoweさん」
「なんですか、AICEさん」
AICEは姿勢を正し、言う。
「割と本気で、snoweさんは私が守りますから」
「それなら、私はAICEさんを守ります」
「あ、ハイ。よろしくお願いします」
それでもお茶会は続く。
【残り14人】