『11:提督、19:euro、20:yorozuyaが死亡しました。残り、14人です』
「やべえー! 人狼が派手にやってやがる!」
なめねこはそう言うと、器用にボウガンを持ったまま頭を抱えた。
「大丈夫ですよ、なめねこさん。きっと今ので人狼が一匹ぐらい減ってますって」
「減ってなかったらどうするんだ! と言うか、右さんは危機感が足りませんよね!」
「よく言われます」
「いや、言われます、じゃなくて」
なめねこはがくりと膝をつく。
「どうしたんですかなめねこさん、歩き通しで疲れましたか?」
「いや、それは大丈夫ですけど。まあ、いいでしょう。全て狩人の私が何とかしてみせましょう」
「おお、頼もしい。ところでなめねこさん、思ったんですが」
「何でしょう」
右は、自信満々に言った。
「これが人狼を模してるゲームなら、色々な役職が存在するかも知れない」
「まあ、その可能性はありますね」
「そこで考えたんだけど、実は俺、狩人かも知れない!」
「いや、どう考えても右さんは占い師ですから! 占い師ですから! と言うか、さっきそれ言いましたよね!? なめねこ言いました! なめねこ言っちゃった! 言っちゃった!!」
「なめねこさん、キャラが壊れてますよ」
「フフフ、この私ともあろうものが……」
なめねこは水筒を取り出すと、水を一口飲んで息を吐き出す。
「とにかく、今は情報を集めるのが先決です。どうにか隠れながら、人狼全員の情報が欲しい」
「人狼を全員倒さない限り、俺達生きて帰れないもんね」
「そういうことです。まず大事なのは、情報。二人組とか三人組とかでも、今となっては安心出来ません」
「え、何で?」
「いやだから、人狼が村人になりすまして混ざってると言ったじゃないですか」
「ああ、そうだった」
なめねこは、不安になる。
不安になったが、やるしかない。
占い師は彼だけなのだ。
多分、彼が死んだら人狼の天下がやって来る。
いや、本当に人狼ゲームが始まってしまう。村人が村人を殺し合う。
それだけは、避けたかった。
そんなことになったら、人狼の方が有利に決まっているのだから。
「とにかく、今は誰かをこっそり見つけましょう。早くしないと、人数が六人とかになって私達の首輪が爆発するかも知れない」
「え、何で?」
「いや……村人の数が人狼以下になったら、村人の首輪は全部爆発しますよね」
「……おお」
「おお、じゃねぇえええええええ!!!!!!!!」
「落ち着いて、なめねこさん」
「はあ、はあ、はあ、はあ……」
二人の旅は続く。
河原で一人、ぱしゃぱしゃと手を洗う少女が一人。
「よう」
男はくるくるとカードを弄びながら、少女に声を掛けた。
「……伯爵さん……?」
「元気か?」
「洗っても、洗っても……落ちないんです」
少女の制服は血で彩られていて、何かがあったことは誰の目にも明らかだ。
「大丈夫、もう十分綺麗だよ。もう何もついてない」
「でも……落ちないんです」
「そりゃ、記憶はそう簡単に無くならない。だからこそ、それでいいんだよ。行くぞ」
「何処へ……ですか?」
少女は虚ろな瞳で、もう夕暮れだと言うのにサングラスを掛けた男を見上げる。
「学校へ。そこには着替えぐらいあるだろう。その格好は、少々警戒心を煽りすぎる」
ほら、と言うように手を差し伸べると、少女はそれを掴んで立ち上がる。
「アイムシンギン、ザレィーン♪」
男は少女の手を引きながら、晴れているのに雨の日の歌を唄いながら歩き始めた。