「そろそろ動かないと不味いか」
「ですね」
酒場で、相変わらず男爵は酒を飲んでいた。
「今日は眠いから、明日から頑張ろう」
「ですね」
「お邪魔しまーす」
右は、元気良く挨拶しながら扉を開けた。
「右さん危なぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああい!!!!」
なめねこは右にタックルをし、引き倒す。
「な、なんだ?」
「襲撃にしては、何か間抜けすぎる声が聞こえましたが」
そう言いつつ、油断無く一真は武器を取る。
「だから右さん! わざわざそんな、要らない! そんな度胸は! そんな度胸は何も要らない!」
「でもなめねこさん、この間命は投げ捨てるものだって」
「そんな世紀末バスケの話は! 現実に当てはめてはいけない! これはゲームじゃなくて現実なのよ、右さん!」
「そっかー」
入り口から、そんな声が聞こえて来る。
「おい一真、あれ人狼だと思うか?」
「いえ、思いません」
「俺もそう思う」
しばらく待ってると、紫色のオブジェクトを高々と掲げた右と、ボウガンを構えたなめねこが酒場へと入って来た。
「いらっしゃいませ」
「あ、どうも。ほら、右さん」
右は事前の打ち合わせ通り、二人の首輪に向けてスイッチを押した。
『どうやら10:男爵は村人のようだ』
『どうやら04:一真は村人のようだ』
「……なんだそれ?」
「ああ、よかった。二人とも、村人だった」
なめねこは胸を撫で下ろす。
「わーい、仲間仲間」
右は男爵に駆け寄り、隣に座った。
「ええっと、これはですね……」
何故か右のことなのに、なめねこが詳しく説明しだした。
【残り11人】
サングラスを掛けた男が、夜の廊下を歩く。
理科室と書かれたそこに入ると、マッチとアルコールランプを取り出し、全てのガスの元栓を開けていく。
窓を開けて外に出ると、窓を閉めてガスが漏れないよう密閉する。
そしてアルコールランプに火を灯すと、ガスが充満するのを待った。
「そろそろかな」
男は振りかぶり、アルコールランプを投げ入れる。それは窓を破り、そして、爆ぜた。
爆音。
しかしそれは学校を吹き飛ばす程ではなく、ごうごうと燃えさかる炎が広がるだけだった。
「……まあ、そう上手くは行かないか」
男はそう言って踵を返す。
少し派手な火葬になったかな、そう思いながら。
【残り11人】