「右、お前にしては珍しく俺の役に立った」
「右さん、守ろうとしたけど、流石に人狼の前に飛び出されたらちょっと無理です」
「右さん、えーっと、あの世でも頑張って小説書いて下さい」
焼け落ちる酒場を尻目に、三人は歩き出す。
「……俺のサケが」
「二言目にはそれですか。もうちょっと右さんをこう、偲びましょうよ」
「貴重なサケの中で燃え尽きるなら、右はきっと本望だったろう」
「右さん、余りお酒は飲めないって言ってましたよね……」
一真は、生前の右と話した幾つかのことを思い出しながら言う。
「いいんだよ、どうせ人間生まれたらいつかは死ぬんだよ。その死に方がサケに溺れてだったら贅沢な方だろ」
「贅沢かどうかはさておき、何と言うか、あの死に方は正直なかったと思いますが」
「僕もそう思いますが」
「右も最後に人狼が占えて、幸せだったろうよ。今頃あの世でほら男爵さん! 俺活躍したじゃないですか! 頭おかしくないですよね! 俺はまともだった! とか言って勝ち誇ってるよ、絶対」
「……まあ、確かにそんな気はしますが」
「……右さんって、やっぱり相当だったんですね」
なめねこは、一真の相当と言う言葉に苦笑しながら焼け落ちる酒場を仰ぎ見る。
「しかし、これからどうするか。人狼チェッカーは右にしか使えないしな」
「まあ、もう手当たり次第に出会う人出会う人殺っちまうのがいいんじゃないかという気も割とする。疑わしきは罰せよ形式で」
「僕も、まあこんなことが起こったしそれもやむなしかなと」
「どうせ伯爵が人狼だから、取り敢えず伯爵は見つけ次第殺そう。それ以外は見つけてから考えよう」
三人は頷くと、それぞれ猟銃とボウガンとディス・マシンガンを構えて歩き出した。
【残り7人】
乾いた音が四発。
内の二発が当たり、綾乃はあっさりと絶命した。
「このあやのんはもう目がイっちゃってたので、殺るしかなかったというか殺ってしまったはいいが、もう弾が尽きたしああでもあやのんの武器を貰えばいいか」
AICEは、平常心を保とうとしながら、色々と動揺しつつ綾乃の手から怪電波銃を取る。
「えーっ と、何だか色々と良く考えると私は村人しか殺してない気がして来たとかそういう酷い展開な気も無きにしもあらずだと思うけれど、そもそも何故か村人達がの んびりお茶会してる私達に牙剥いて来たのでこれはもう割としょうがないと言うか、しょうがないならしょうがないでサクッとあやのんを殺っちまうべきだった と言うか、とにかくsnoweさんごめんなさい」
AICEは黒こげになったsnoweの死体に頭を下げる。
「AICEさん」
有理が、虚ろな目で問いかける。
「AICEさんは、本当に人狼じゃないんですか?」
「いや、何というか私とかsnoweさんが人狼だったらとっくに有理さんとか殺す機会は幾らでもあったよね、とか言うのを信じて貰うしか」
AICEの説得を、銃声が遮った。
【残り6人】