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 一真は悪夢を見ているような気分で、その場を後にした。
どうしてこんなに人が死んで、終わらないのか。
呆然としたまま歩いていると、一人の少女と出会う。
有理だ。

「……一真君?」
「有理……」

 この少女が、人狼なのだろうか。
ふと思う。
この少女を殺したら、悪夢は終わるのだろうかと。

「一真君が、人狼なの……?」

 けれど。
その言葉は、不思議と嘘を吐いてる気がしなくて。

「ううん、違うよ」

 そう言って、一真は猟銃を捨てた。

「これ、弾入ってないんだ。飾りだよ」
「……そっか」

 一真は有理の近くの木に、背を預けるようにして座った。

「有理は、誰が人狼だと思う?」
「AICEさんは逃げていっちゃったし、伯爵さんは私を撃たなかったし。他に会った人はみんな死んじゃった」
「男爵さんとなめねこさんと伯爵さんは、あっちの方で死んでるんだけど。それじゃあAICEさんが人狼なのかな?」
「そんな感じは、しなかったと思う。右さんは?」
「俺の目の前で死んじゃった。xiwongさんと一緒に。xiwongさんは人狼だったけど。そういやgeminiさんは? まだ生きてるよね?」
「geminiさんは、AICEさんが仕留めてたよ」
「……やっぱりもう、AICEさんしかいないような」
「一真君が人狼なら、今ここで私を殺してるよね?」
「どうかな。武器が無いだけかも」

 一真が冗談めかして言うと、有理はスカートの中から不似合いなごつい銃を取り出した。

「それじゃあこれ、一真君にあげる」
「え、いや」

 一真は後ずさった、その時。銃声がして、44マグナムが弾け飛んだ。

「また外したよおい!」

 そしてそこには、サングラスを掛けた学ラン姿の男が立っていた。

                                  【残り5人】

 

「やっぱり、伯爵さんが人狼だったんですね」
「ま あ、その通りだ。と言うか、冷静に考えて俺しか人狼いないよなこれ。そしてこう、今外したのは決して俺の腕が悪いとかそういう事ではなくて、防弾チョッキ の上からでもディス・マシンガンとか喰らったら余裕でアバラがイカれたとかそういう事なんだ。有理が銃を持っているのは知ってたので、こう、確実にどうに かするにはどうすればいいかな、と息も絶え絶え様子を見ていた訳ですな。っつーか、冷静に考えてジュラルミンシールドでも5点抜けてくるディス・マシンガ ンの弾とか、防弾チョッキとか着てても全然痛いって言うね。誤算と言えば誤算だったね、困ったね」

 伯爵は、笑いながら一歩一歩、二人へと近付いて行く。

「どうして、私を殺さなかったんですか?」
「俺 一人だと近づけない相手も、有理と二人なら近づけるだろ? 後は、適度に疑惑の種を残しておくことで勝手に殺し合ってくれないかな、と。全員殺しきるに は、弾薬の量が明らかに足りてなかったんだよな。一発必中で殺して行ければそうでも無かったが。見ての通り思ったより結構外すんだよ。まあ、射撃訓練とか 受けて無いから当たり前と言えば当たり前なんだけどな」
「それは、嘘です」

 有理の言葉に、伯爵は足を止める。

「何が嘘だ?」
「それじゃあ、何でAICEさんが逃げた時、私を殺さなかったんですか。おかしいじゃないですか。その時点ではもう、私を生かしておく意味なんて無いじゃないですか」
「…… あー。それはまあ、アレだよ。アレ。気紛れ。どうせ後で殺すんだから、今殺さなくてもいいとか言う。それにあの時はまだ、有理は武器を持っていただろ。だ からこう、逆に殺されるかも知れない、みたいな。44マグナムって、インド象の頭でも撃ち抜けるんだぜ? 防弾チョッキ一枚で防ぎきれるかどうか解らない だろ。微妙に」
「そんな嘘、信じると思っているんですか?」
「いやいや、嘘じゃないって。俺人狼だもん。余裕で。ちゃんと全員皆殺しにする気満々でしたとも」

 そう言って、また一歩距離を詰める。

「ああ、そうか」

 一真は口を開く。

「人狼と同じだ」
「……クックック」

 伯爵は、顔を押さえて笑う。
愉しそうに愉しそうに、笑った。

「一応勝とうとする。勝てるようにはする。けれど。別に、負けてもいいやって考えてたんだ」
「……空が青いな」

 伯爵は、笑いながら二人へと近付く。
外しようの無い距離にまで、近付く。

「伯爵さん」
「何だ」

 一真は、サングラスの奥の瞳を見据え、言う。

「僕だって、男の子なんです。男の子には、意地が……あるんですよ!」

 そう言って、一真は伯爵へとタックルを仕掛けた。
伯爵はよろめき、その手からデザートイーグルが転がる。
その先には、有理がいた。

                                  【残り5人】

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最終更新:2008年10月11日 18:41