「有理、撃て!」
「中学生に押し倒される情けない俺。と言うか、マジでディス・マシンガンは痛かったんだよな。と言うか、何だ。俺防弾
チョッキ着てるし、何だ。しまったな、AICE野郎を殺しておけばうっかり外してカズマーンが死ぬと有理の首輪が爆発! 俺勝利! みたいなドラマチック
な状況に出来たのか。しまっつ」
伯爵は必死に一真を退けようとするが、一真はそうはさせじと伯爵を押さえ込む。
有理はデザートイーグルを構え、震える腕で照準を定めた。
足も震えていて、とても的を狙える状態ではない。
「やめとけ、やめとけ。自分の足を撃つだけだぞ」
「有理、撃てー!」
「もしくは、カズマーンに当たるか」
「有理、撃て! 伯爵さんは、伯爵は、人狼なんだ! みんなを殺した!」
「人を撃墜王みたいに言うなよ。俺は四人しか殺してねーよ」
「有理!!」
それでも。
有理は照準を定め、引き金を引いた。
森の中に、銃声が木霊する。
【残り――】
「さて、十分盛り上がったかな」
伯爵はポケットから鋏を取り出すと、それを一真の太腿へと突き刺す。
「がぁっ」
そして悠々と起き上がると、伯爵はデザートイーグルを拾った。
「訓練もしてない奴が、そう簡単に大型拳銃を的に当てられる訳無いだろ。良く考えろよ。第一、華奢な中学生何かがそんなもん撃ったら、反動で肩が余裕で外れるわ。訓練された軍人でさえ、デザートイーグルは片手では撃てない。そんなの常識だよな」
「ああっ!!」
脱臼し、痛みに藻掻く有理の肩を踏み付けながら、伯爵は笑う。
「そもそも何だよ、負けてもいいって。そんな訳無いだろ。俺はどんな勝負も、常に勝つ為にやってるよ。まあ、たまに後の二勝の為にその時の一敗を選ぶ事は在るけどな。全く、勘違いも甚だしい」
「あああああっ!!! ぐぃっ……!」
勝者の余裕を見せるかのように、ぐりぐりと外れた肩を抉るように踏み付ける。
「殺 せる時に殺さなかったり、一見無駄な行動をするのは、推理を攪乱する為の常套手段だろ? 全ての行動に意味が在ると思うな。どう見ても俺が人狼だって言う のに、読者の中にはまだ俺が人狼じゃないって思ってる奴等も居るしよ。疑わし過ぎて逆に怪しく無いってか? まあ、賢明な読者諸君はとっくに解ってるだろ うが」
伯爵は、デザートイーグルを両手で構え、有理の頭部へと押しつけ。
「俺が、人狼だ」
乾いた銃声が響いた。
【残り4人】