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 naviaさんは俺達に殺し合いをして貰うと言った後、無惨にも06:佐藤(誰だっけ?)
を虐殺した。
そして出席番号一番にバックパックを渡すと、五分時間を空けて次の人にバックパック
を渡す。
05:xiwongさんのバックパックが不自然に膨らんでいたところを見ると、xiwongさ
んに配られた武器は毒物ではなくかなりの重火器だろう。重火器が与えられるのは殺人鬼
役と相場が決まっているので、xiwongさんはきっと人狼に違いない。人狼カードを引い
たら接触して、村人カードを引いたら関わらないようにしよう。そう決めた。
それから暫く観察していると、taraと言う人のバックパックもまた不自然に膨らんでい
るのが見えた。あいつも人狼か。
バックパックを渡し始めてから、一時間ばかり経った頃だろうか。ようやく私の番が来
た。不自然に膨らんでいるバックパックはもう一つ見えたので、残る人狼は16:まなか
17:右、18:有理、19:euro、20:yorozuyaの五人の中に一人となる。教室を出
て歩きながら自分のバックパックを開け、中に鋏と村人カード、水と大量のハートチップ
ルが入っているのを見て確信した。やはり、人狼は渡される武器が豪華なんだ。うん、そ
うじゃないとゲームにならないもんな。私より後ろの五人、そしてxiwongさんとtaraに
は気を付けよう。そう思い、歩き出す。
校舎を出たところで伯爵が立っていた。ビビったが、余り表情に出さないようにして話
しかける。
「よう」
前に向こうから話しかけて来た。
「どうも」
軽く会釈を交えてそう返す。
「よしhuma、一緒に行こうぜ!」
「いいぜ!」
取り敢えず即答した。私の完璧な理論によると伯爵は村人だ。何の問題もない。
「まあ、その前にお前、カードを見せろ」
「ああ、分かった」
ポケットから村人カードを取り出し、それを伯爵へ渡す。
「よし、お前が味方で良かった。行こうぜ」
伯爵はそう言うと、私にカードを返却する。私はそれをポケットに入れると、既に歩き
出してる伯爵に追いつくため、小走りに後をついて行った。

「ところでhuma、武器は何だった?」
「その前に伯爵、一応カード見せてくれ」
「ああ、いいぜ」
そう言って伯爵は村人カードを見せる。やはり私の完璧な理論は間違っていない。
「私は鋏だったな。私でさえ鋏と言うことは、gemini辺りはひのきの棒でも配られてるに
違いない。伯爵の武器は?」
「これだ」
そう言って、伯爵はごっつい銃を取り出す。重そうだ。
「何だそれ」
「デザートイーグル50Action-Express版。レベルⅡ規格までの防弾チョッキなら軽々貫通
する、自動拳銃最高峰の威力を持つ大型拳銃だ。しかし、携行性やその他の問題から、実
用性は低いと言われているな。確かに片手で撃てない程の大口径ってのは実用性が低い」
「何で片手で撃てないんだ?」
「肩が外れるからだ。と言うのは嘘で、実は大人であれば女性であっても姿勢次第で片手
で扱える。ただ重すぎて、片手で扱うと命中精度が極端に落ちるんだ」
そんなもんか、と思う。
「使い方は多くの自動拳銃と同じ。安全装置を外し、スライドを後ろまで引き、狙いをつけ、そして」
「お、おい伯爵。やめろよ。怖いだろ」
冗談のつもりか、伯爵は私に狙いをつける。
「……なあhuma。お前、自分のカードを見てみ?」
今の伯爵に逆らうのは危険だ。そう判断した私は、自分のポケットからカードを出す。
そこには人狼、と書かれていた。
「え?」
「引き金を引く」
重い音が響いた。胸から熱いものがこみ上げ、吹っ飛ぶようにして仰向けに倒れる。あ
あ、私は。死ぬのか。
「残りは六発か。うわ、本当にこいつの支給品鋏だよ。そして何だ、この大量のハートチ
ップルは。これはアレか。humaはそういうキャラクターか。理解した」
伯爵が何か言ってるのが聞こえるが、それも段々遠くなり、やがて目の前が真っ暗に―
―。

                                 【残り18人】

 

 支給品の説明書には、S&W M29と書いてあった。それは44マグナムと呼ばれる回転
式拳銃であり、発売された当時は世界最強の拳銃であったらしい。弾倉は六発。私はそれ
を付属のガーターベルトで太腿に隠すと、学校内を探索する。一階の給食見本でフォーク
を見つけた時、放送が入った。

『15:humaが死亡しました。残り、18人です』

 人狼はもう動き出したらしい。村人のカードを持つ私としては、落ち着いてはいられな
い。狙われるとしたら学校を出てすぐの可能性もある。私は玄関へ向かうと、そこから走
って木々の中に入った。
走って、走って、走る。息が切れるまで走る。そして。
「おや」
そこには09:taraさんが立っていた。

 支給品はフォークだと嘘を吐いて、私はtaraさんの出方を見ることにした。
常に右手はボウガンのトリガーにかかり、最大限警戒しているように思える。心細いの
だろうか。少なくとも、打って出て人狼を全滅させよう、と言う意思は見えない。
走って逃げようとすれば、撃たれる可能性もあった。しかし、言うことに従ってる限り
は危害を加えようとはしないだろう。そう思いついて行き、小屋へとついた。
「使われていないログハウス、だろうね」
聞いてもいないのに、説明してくれる。不安なのか、それとも。
「何もないところだけど、入ってくれ」
私はこくんと頷き、後へ続く。
中はそこそこ広くて温かかった。プロパンガスと水、簡素な台所があり、ベッドの数は
一つ。誰が、何のためにこんな場所に小屋を建てたのだろう。
「お茶でも淹れてくれないか?」
「……はい、分かりました」
お湯を沸かし、急須にお茶っ葉を入れる。
taraさんは椅子に腰掛け、ボウガンを机に置いて私を見ていた。変な動きをしたら、い
つでも私を撃てるように備えているのがよく分かった。もしかして、私がhumaさんを殺
して、村人のカードを奪った可能性を考えているのかも知れない。それはまず無いだろう
と思いつつも、一応警戒してるんだろう、きっと。それなら。
「大変なことに、なってしまったね」
「そうですね。学校でhumaさんが亡くなったという放送を聞いた時は、驚きました」
「有理は、humaが死んだ時はまだ学校に?」
「ええ、バックパックを渡されて、廊下に出た時ぐらいに。それで、危ないと思って、急
いで走って……」
「そこで私に会った、と」
「はい」
taraさんは、何気ない話をしているようで、色々と考えてみているようだ。手元が少し
おろそかになっているので分かる。今なら、逃げ出せるかも知れない。しかし、村人が村
人から逃げるようじゃ、状況は好転しないだろう。
「お茶、入りましたよ」
「ありがとう」
taraさんは受け取ると、それを飲む。
私も椅子に座ると、湯飲みに淹れたお茶を飲んだ。
「そうか、やっぱり有理は村人か」
「そうですよ。taraさんと同じ、村人です」
そして私は、taraさんの緊張をほぐすため、天国での村の話などをし始めた。

「伯爵のせいで、みんな私のことを病魔って言うんだ」
「あはは」
「全然、そんなことないのにね」
「……」
「え、何で黙るの? 確かに私は小学生までの女の子が好きだけど、別に手を出そうとか
そういうことは思ってないんだよ」
「ええ、そうですね」
taraさんは、やっぱり病魔だ。
「なのに、全然病魔じゃないのに、みんな、みんな私のことを病魔とか言うんだ。有理も
どうせ、そう思ってるんだ」
「い、いえ……」
あれ。何か、雲行きが怪しい。
私は、どこかで言葉を間違ったか。
それとも、taraさんと二人きりというのは間違ったのか。
「私は全然病魔じゃないのに、みんな病魔と言うんだ。だったら、本当に病魔になってや
ろうか。そう考えても、仕方ないだろう?」
そう言うとtaraさんは立ち上がり、私を押し倒す。しまった、反応が遅れた。
「ど、どうしたんですかtaraさん?」
思わず声が震える。
「こんな状況だ、いつ死ぬか分からない。病魔と呼ばれたまま死ぬぐらいなら、いっそ本
当に病魔になっても構わないよな。私は悪くない。みんなが、私のことを病魔と呼ぶから。
幸い、私は中学生までならギリギリ――」
言いながら、私の膝を無理矢理割り、そして。
「え?」
私は自分でも驚く程冷静に44マグナムを取り出すと、それを両手で構え、引き金を引
く。それはtaraさんの腹部を貫き、私を真っ赤に染めた。血って、熱いんだ。

『09:taraが死亡しました。残り、17人です』

 どこからか、そんなアナウンスが聞こえて来た。

「あ、あ、あ……」
血の熱さを感じて、視界が赤に染まって、taraさんが死んだとアナウンスがされ、よう
やく震えが来た。ことりと拳銃を取り落とす。手が赤い。撫でても落ちない。水で洗おう
としたが、足りない。落ちない。
覚悟は決めたつもりだった。人狼だと思ったら、誰であろうとも撃つ覚悟はしていた。
それなのに、実際一人殺してしまったら、どうだ。
手は震え、足は震え、血の匂いに咽せ、吐かないようにするだけで精一杯じゃないか。
私は、人を殺してしまった。それも人狼ではなく、村人を。味方を。
「私は……」
悪くない、と言うことは出来る。
けれど、それは違うと思った。
私は、悪い。間違った。判断を。
だから、殺してしまった。私は人を、殺してしまった。
「うふふ、ふ」
何故だか笑いが漏れる。震えは、どうにか収まって来た。
私は拳銃を仕舞うと、バックパックを背負い、ふらふらと歩き出す。真っ直ぐ歩いてる
つもりなのに、何故だか視界が揺れた。
どこかで、血を、落とさないと。

                                 【残り17人】

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最終更新:2008年10月17日 00:50