小屋の中から銃声がし、暫くしてから18:有理が出て来た。さて、彼女は人狼だろう
か。それを木の陰から見送り、小屋へと入る。
バックパックはそのままで、武器のボウガンもそのままだ。死体からは村人カードも出
てきた。一応彼女が人狼の可能性はあるけれど、村人の可能性の方が高い。何故なら、人
狼ならまず村人カードを確保したいと考えるからだ。
だから私はそれを抜き出すと、taraの手に人狼のカードを持たせた。
机の上に置いてあるボウガンは、少し迷ってから地面に置いておく。こうしておけば、
運が良ければ誰かが有理を始末してくれるだろう。体を洗ったとしても、血に塗れた制服
を見れば、誰だって警戒し、それを疑うだろうから。
「成る程な」
不意に掛けられた声に、ショットガンを構えながら振り返る。
そこには、13:伯爵が人狼カードを見せるようにして立っていた。
「貴方が味方というのは、心強いものですね」
「取り敢えず、此処を離れながら話そうか」
伯爵は、そう言うと無防備に背中を向け歩き出す。私はそれについて行った。
「どうして、ここに?」
幾つか仮説は立てられるが、分からなかったので素直に聞く。
「君は、どうやって中の二人を殺すか、見極めるか考え、木陰に隠れていた。俺は、そん
な君を木の上から観察していた。それだけだよ」
「いつの間に……?」
「さて、そんな昔の事は忘れたな」
冗談めかすように、伯爵はそう言った。
「武器はあのままで良かったのですか?」
「扱いにくいものだし、それ程殺傷力が高くない割りに携行性が悪い。それに、病魔を人
狼と思わせる為には置いておく必要があるだろう。まあ、まず騙せないだろうけれど、一
応ね」
「病魔?」
「ああ、taraの通称だよ」
クイ、とサングラスのずれを直しながら伯爵は言う。
「そうですか。それで、これからどうするんです?」
「俺は有理と合流する。面倒だから、中から崩したいしな。校舎の方で何か起こったら、
俺がやったと思え」
「分かりました」
この人のことだ、何か考えがあるのだろう。
「xiwongは、そのカードを使って誰かと合流しろ。なるべく鋭く無さそうな奴がいい。
時間が経ち、疑われ始める前に、騙せそうな奴と合流しろ」
「人狼と同士討ちになるかも知れませんが」
「遠吠えが無い以上、俺とxiwongが出会えた事自体が奇跡的だ。他の仲間はうっかり殺
してしまっても構わん」
「そうですね。そうしましょうか」
「それじゃあ、な」
伯爵は、そう言って踵を返す。私にはこのまま行けということだろうか。そう思った時、
猟銃を肩に担いだ11:提督の姿が見えた。
【残り17人】
「これ、naviaさんから貰ったんです。佐藤さんのものだったけど、死んじゃったからあ
げるって」
20:yorozuyaさんはそう言うと、俺にディス・マシンガンを返した。
「成る程。確かにyorozuyaさんが人狼なら、今俺を撃てば良かったですよね」
逆に、いきなり人狼カードを見せられたら俺は取り敢えずyorozuyaさんをディス・マ
シンガンで蜂の巣にしていただろう。危ないところだった。yorozuyaさんもそう考えたか
らこそ、俺から一端武器を奪ってから人狼カードを見せたのだ。
「ええ、そういうことです。人狼は、残り二人しかいないことになります」
そうなると、人狼は大分不利。村人の俺達は大分有利だ。
「このことは、他の誰かに話しましたか?」
「いえ、まだeuroさんとしか会ってませんし」
「そうですか。それなら、早く他の村人達にこのことを伝えるべきかも知れません。無駄
な争いや疑いを、幾つかなくすことが出来るかも知れませんし」
「そうですね。そうしましょう」
俺は立ち上がると、yorozuyaさんに手を差し伸べる。
yorozuyaさんはそれを取り立ち上がり、俺達は歩き出した。
「要するに人狼は最大で2だから、3人以上の集団があれば比較的安全なんだ――」
この情報を、村人達に伝えるために。
【残り18人】
「手を挙げろ! 武器を捨てろ! カードを見せろ!」
提督はそう言いながら、村人カードを見せながら猟銃を構えていた。
後ろのxiwongさんもごっついショットガンを構えながら、村人カードを見せている。
「俺達は村人ですよ。ね、yorozuyaさん」
「あ、はい」
そう言って村人カードを見せると、提督とxiwongさんは銃口を下ろす。
「成る程、二人とも村人ですか。それなら一緒に行動しませんかな?」
「ああ、いいですよ」
俺はなるべく嫌そうな顔にならないよう、気を払ってそう答える。
「それより聞いて下さい。人狼は、もう二人しかいないんです。最初にnaviaさんに殺さ
れた佐藤さんが、人狼だったんです」
「……それは本当ですか?」
yorozuyaさんがちょっと早いことを言い、それにxiwongさんが食いつく。
嫌な予感がする。俺は、いつでもディス・マシンガンを使えるように腕を緊張させてお
く。
「はい。naviaさんが、最後にスタートする私に、佐藤さんのカードをくれて……」
「提督さま。この人達は人狼です」
「え?」
何のことか分からない。そう言った顔をする提督を無視し、xiwongさんは銃を構え。
俺は反射的に、ディス・マシンガンをxiwongさんに撃ち込んだ。
しかしxiwongさんは提督を壁にしてそれを回避すると、俺達にショットガンを撃ち込
んで――俺とyorozuyaさんの体を、散弾が引き裂いた。これでゲームオーバーか。
この時俺の撃ったディス・マシンガンの弾が割と近くにいた07:geminiに流れたと知
れたのなら、俺は笑いながら死ねたのにな。
【残り14人】