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 侵食






 強引に、噛み付くように口付けをすると、僅かな拒絶が返ってくる。
 無理矢理に舌を進入させて、無理矢理に絡ませる。
 彼女の意思など、必要としない。
「…っ…む…」
 喘ぎ声が漏れると、ゼロスは心底愉快そうに口元を吊り上げた。
 一旦唇が離され、銀の糸が名残惜しげに繋がる。
「…最低、だね」
 吐き出すようについた悪態。
 それに気が悪くなった。ゼロスは再び、コレットの唇を奪う。
「…っ…ぁぅ……」
 息が出来ないほどに求める。
 苦しさが限界に達すると離し、また口付け。そしてまた離し、また。
「……っ」
 それに耐えられなくなり、コレットは僅かな抵抗を試みる。
「…!」
 効果はあったようで。
「…最低だね。」
 もう一度、心からの悪意を込めて。
 瞳は冷たく、軽蔑の色は濃い。
「…」
「…。…どうして?」
「……」
「…理由も無く、あんなことを、したの?」
「…本当はずっと、そうしたかったのかもしれねぇ。」
 嗜虐心を誘うは、少女の笑顔。
「…キスだけど済むような感情なの?」
 問いに返答はしない。
 口内に広がった鉄の味を感じながら、ゼロスは踵を返した。
 ドアが、音を立てて、閉まった。
最終更新:2006年09月19日 21:11