18:由実系、雪山で放尿。
どういういきさつだったかは覚えていないが、二人は雪山に来ていた。おそらく、由実系が行きたいと駄々をこねたのだろう。
「水どうすんの?」
普通、何らかの形で雪を溶かして飲み水を用意しなければならない。
「火使うしかないやろ」
「ちょっと待って」
由実系はそう言ってバケツに雪を集め始めた。
(火以外でやるつもりか)
だいたい先が読めていたがもう止めようもあるまい。そもそも止めて聞くような女でもないのだ。
やがて一杯になったバケツを持って彼女は慎一系の前にやって来た。
「こんだけあったらいいやんな」
満足げに頷くと、由実系はジーンズと下着を下ろした。大きな円い尻が丸出しになっているが寒くないのだろうか。
「多分一瞬やと思うし」
一瞬、というのは雪が解けるまでの時間のことであろう。彼女の小便の量と勢いからすれば確かにそうであろう。また流石に慎一系は彼女の小便の温度までは知らなかったものの一般的には雪を溶かすに充分なもののはずである。ここまで彼が思案する間もなく目の前では盛大な放尿が始まっていた。彼女の言葉通りバケツの中に溜まっていた雪がみるみる内に溶けていく。
「湯気すごくない?」
彼女の言う通り、狼煙のような湯気がバケツから立ち上っている。或いは由実系がそう言ったのはその臭気のことだったのかもしれない。
「臭過ぎやろこれ」
「温かいしいいやん」
言うなり彼女は慎一系の手を取って、自分の小便が発している湯気にかざした。雪山では焚き火以外がもたらすはずのない温度がそこにはあった。
そうこうする内に彼女は腰を振って雫を切った。いつもより振り方が激しい気がしたのは寒さのせいだろうか。
「はい、慎一系」
重たそうなバケツを持って彼に渡して来るのであった。
「何で俺やねん」
「のど渇いてへんの?」
「にしたって飲めるか」
とにかく、彼は早く水を用意しなければならなかった。しかしなおも由実系はバケツ一杯の黄色い水を彼の前にすすめて来る。
「こういう時って塩分大事やん」
「塩分の出所がおかしいやろ」
そもそも塩分以外に余計なものを摂取してしまいそうでもある。
「健康ドリンクが効いたな」
おそらくは小便の黄色さのことを言っているのだろう。
「これレモネードって言ったらみんな飲むよな」
「俺は飲まへんぞ」
「小屋の前で売ろっか」
慎一系は無論賛同しない。この女は冗談だと思って聞き流していると本当にやりかねない女であるし、そもそも場合によっては口にする冗談以上のことをやってのけて後々悪びれる風なく暴露することさえある。油断はできない。
最終更新:2013年03月23日 23:41