36:由実系、高台で放尿(しゃがみ)。
二人で居残りをすること自体は、慎一系は別に嫌いではない。だが、その時にはいつも由実系が何か良からぬことをやらかすのだ。
その日、二人は学校の敷地外で話していた。他愛もない話だったが、二人ならそう退屈でもなかった。
そんな時、由実系がまた調子を狂わせるようなことを言った。
「おしっこしたいねんけど」
(校舎戻れよ)
言ったところでどうせ黙殺されるだけだろう。
しばらく、彼女は放尿に適した場所を探し歩いていた。これだけ歩くなら校舎内のトイレに行った方が早い気もするのだが。
やがて、彼女はコンクリートの塀の向こう側を見て頷いた。
「じゃぁここでするわ」
「何でそこやねん」
「何か花とか咲いてるしいい感じやねんて」
また肥料撒布にかこつけて植物に小便をふっかけるつもりらしい。由実系は塀の上に登り、そこで下半身を露にした。
ちょうど、彼女の大きな円い尻が慎一系の目の前にある。
「そこいといて」
よりにもよって由実系はそんなことを言って来た。
仕方なく彼女の菊門の目の前に立っていると、放尿が始まった。彼の見ている前で、由実系の足元の草花が小便の雫に濡れて行く。
(これでええんかおい)
いつものように、草花の周りにも大きな水溜りができていた。その内近所で異臭騒ぎでも起きれば間違いなく犯人は彼女だろう。
その小便の勢いが弱まり始めた頃、彼の目の前の菊門が轟音とともに大きく広がった。慎一系の周りの空気が一瞬にして黄色く染まったかとさえ思った。
「ごめん、大丈夫?」
小便を終えた彼女はそんな質問をしてきた。
「何食ってんこれ」
「昨日餃子やってん」
嬉しそうに由実系はそう笑うのだ。おそらく、彼に間近で屁を嗅がせられたことに快感を覚えているのだろう。
「餃子の匂いする?」
「流石に分からんわ」
由実系も執拗に自分の屁の匂いを嗅いでは首を捻っている。
「ちゃんと餃子の匂いしてたらお腹一杯になんのにな」
「ならへんならへん」
「最悪あたしのおなら嗅ぎながらご飯食べたりできるやん」
食べたものの匂いが残っていることを前提にしているとはいえ自分の屁を嗅ぎながら飯を食えとはひどい女もいたものである。
「お前のケツ見ながら飯食う自信ないわ」
「じゃぁ今度あんたに朝一のおなら嗅がせるし前の晩何食べたか当ててよ」
「当たる当たらん以前に俺のリスクが高過ぎるやろ」
どの道彼女の屁を嗅ぎながら食事する羽目になることに変わりはない。
「あたしが一日お尻に挟んでたおにぎりとかどうよ」
「どうよ、ちゃうわ」
「いい感じに塩味付きそうやん」
何故彼女の尻の割れ目の汗の塩分を味わわなければならないのか。
「味噌も付きそうやけど」
「リアルに想像さすなよ」
由実系が尻を仕舞っている間、彼は彼女が手料理を持って来ても早い段階で拒否しなければならないと誓わざるを得なかった。
最終更新:2013年08月08日 11:55