37:由実系、蟻の巣に放尿。
最早、一つの公園全体か由実系のトイレとなっていた。畑で用を足し、池で用を足し、ひどい時は砂場で用を足すこともあった。そもそも、トイレの個室の鍵云々は関係なくなってしまっているようでさえある。
さて、今日の彼女はどこで用を足すのだろうか。
「どうしよっかな」
「何がねん」
「どっか気持ちよくおしっこできることないかな」
やはり、彼女が考えているのはそんなことだった。慎一系は早くも目頭に痛みを覚え始めていた。
二人は、いつも彼女が"水やり"をしている畑のそばまでやって来た。
「まずここやんな」
また、由実系は中腰のまま黄金色の小便を迸らせた。
「でもちゃんと芽出てきてるやんな」
確かにそうなのだが、それは彼女の小便のおかげだと言えるだろうか。
「やっぱあたしのおしっこすごいんちゃう?」
「どうすごいねん」
「かなりいい肥料っぽいやん」
ついで、彼女は少し後ろへ下がった。今度は別の児童の芽の番だ。
「あそこの田んぼもいい感じやし」
「そうなんか」
由実系の小便で育った米を食べるというのも妙な話だが。
「何であたしのおしっここんな栄養満点なんかな」
「知らんがな」
「てかあそこのお米さ」
彼女の目が笑っている。何か妙な発案をする合図だと言える。
「あたしのおしっこで炊いたらよくない?」
「何でそうなんねん」
ますます気持ち悪くなってきた。
「だって何かおいしそうやん」
「なわけないやろ」
「朝ご飯の時間なったらさ」
言いつつ彼女は小便を一旦止めた。
「あたしがその辺の家回ってご飯の上にしゃーって」
「それってお茶漬けみたいにならへんか?」
一応そう指摘だけはしておく。
「おしっこ茶漬けいいな」
「ようないわ」
その時、由実系が何かに気付いたようだ。
「どないしてん?」
「蟻の巣あるやん」
そう言うと、彼女は今自分が指差した辺りをまたいだ。次の瞬間には、蟻の巣に向かって由実系の小便が真一文字に注いでいた。
「めっちゃ綺麗に入ってるやん」
すぐに巣穴からは小便が溢れ出している。巣の周りにいた蟻達は無残に溺れてしまっていた。
「何がしたいねんお前」
「蟻に栄養与えてるんやんか」
かといって巣穴に直接注ぐことはないだろう。
「あたしのおしっこ甘そうやし蟻も喜んでるって」
「その前に溺れてるやろ」
「でもあたしのおしっこで溺れてるってさ」
「何やねん」
「興奮すんねん」
「またそれかよ」
善行と快楽が彼女にとっての排泄行為の全てになりつつあるようだ。
そうこうする内に、由実系は放尿を終えた。だが、ジーンズを履きなおすことはなく、まるでそこに尻餅をつくかのようにしゃがみ込んだ。そして、凄まじい音の屁を放ったのである。その臭気はほとんど直接蟻の巣に注がれたことだろう。
「よし」
ようやく彼女はジーンズや下着を履き直した。
「絶対やりすぎやろ」
「でも気持ち良かったしいいやん」
どうやら彼女は率直に畑に肥料として放尿していた頃よりやや悪戯っぽさが増しているようだ。
最終更新:2013年03月23日 23:47