{やせっぽちで亜麻色の髪をしており、肌はクルミ色、その目ははっとするほど澄んだ青緑色をしている。バーゲルはアーロンの半分ほどの背丈しかなく、腰掛けの上によじ登って覗き穴から外を見る。オイブルのほとんどの住居と同様に、個々の住居は人間用に作られており、その結果生じる不便に対して、より小さな住民たちは可能な限りの最善を尽くして対処している。
しかし少なくともこの共同住宅の比較的広いが、バーゲルのためにノーム用の大きさの道具すべてがひとまとめになった部屋を提供していた。正面の部屋は彼の作業場であり、困惑させるような道具類が寄せ集められていた:とんかち、のみ、のこぎり、錠前破りのピック、色つきレンズ、宝石職人用のルーペ、呪文発動用の粉末化され、裁断された材料の入った壺。この魔術師の使い魔である1匹の太った灰色の猫が呪文書の上で体を丸めて寝転がっている。その目を開くと、アーロンに軽蔑的な黄色いまなざしを向け、それから再び眠りに戻ってしまったようだ。}
―リチャード・リー・バイヤーズ、『The Black Bouquet』
ノームたちが団結した共同体を形成しているようなゴミゴミした街区をでは、いつもぶつぶつ言い続けるような忙しい活動がありふれている。このブツブツ言う声を貫いてもっと大きな騒音が起こる:こちらでは粉を挽く装置のゴリゴリ言う音がし、あちらではちょっとした爆発が起こり、大成功に大喜びする鋭い喜びの叫び声やはじける笑い声などだ。ノームたちは人生を楽しみ、あらゆる発明、実験、調査、創造、そして演芸の瞬間を楽しんでいる。
彼あるいは彼女がひどい怪我を負ったりしない限り、ノームが敵対的になったり、悪意に満ちたりすることはめったにない。ノームは大部分の種族が彼らのユーモア感覚を共有していないことを知っているが、彼らがしようとしているあらゆることを楽しむのと同じように、誰かの仲間であることを楽しむ。
鮮烈な表現力
生きることに対するノームのエネルギーと熱意は彼や彼女の小さな体の隅々にまではっきりと表れている。ノームは平均的には3フィートを僅かがかり超える身長と40~45ポンドの体重を持つ。通常、彼らの小麦色か褐色の顔には(大きな鼻の下に)大きな笑い顔が浮かんでおり、彼らの生き生きした目はいつも興奮に輝いている。彼らの金色の髪の毛は、周囲にあるあらゆる物に対するノームの飽くことを知らない好奇心を表現しているかのように、あっちやこっちに突き立ったひどい癖っ毛の傾向がある。
ノームの個性は彼あるいは彼女の外見に大きく表れている。男性のノームのあご髭は、そのもじゃもじゃの頭髪と対比すると、注意深く手入れされているが、しばしばへんてこに二股に分けたり、すっきりと先端を尖らせたりといったスタイルにされている。ノームの衣服は、通常は控えめな土色の色合いであるが、刺繍、浮き出し模様、あるいはキラキラ光る宝石で精巧な装飾が施されている。
楽しみの追求
ノームに関する限り、生きるという事は素晴らしい事であり、その3世紀から4世紀にも及ぶ人生で全力を振り絞って楽しみを追い求める。人間であればそれほど長い人生で飽きたりしないものかと不思議に思うかもしれないし、エルフであればその長い人生で世界の美を楽しむ時間は十分に持っているが、ノームはその人生の全てを使い尽くしても、やりたい見たいことを満足するまでできるという事はないように見える。
ノームは、まるであまりに早く回転するその頭から考えをうまく取り出すことができないかのような性急な話し方をする。たとえある話題の範囲で意見と見解を提示するような場合であっても、彼らは他人の言葉を注意深く聞くことができ、その途中で驚きと評価を示す適切な感嘆をもらす。
ノームはあらゆる種類のジョークが大好きではあるが、特に駄洒落と悪ふざけを愛しており、彼らが従事するもっとまじめな仕事と同じくらい真剣にそれに打ちこんでいる。多くのノームが熟練の技師、錬金術師、鋳掛け屋、そして発明家である。彼らは失敗することを厭わず、彼らがなすことの完成へのプロセスだと笑い飛ばし、大胆に(時に無謀に)リスクを取り、夢は大きく描く。
明るい隠れ穴
ノームは小高い森林地帯に家を建てる。彼らは地下ではあるが、ドワーフよりは新鮮な空気を取り入れることができ、自然を楽しみ、可能なときにはいつでも地上での生活を楽しんでいる。彼らの家は素晴らしい建築方法と単純な幻術によってうまいこと隠されている。歓迎される訪問者は、速やかに明るく暖かい隠れ穴へと通される。歓迎されざる者はそもそもこの隠れ穴を発見することすらできないだろう。
人間の土地に入植しているノームは、一般的に宝石細工師、技師、賢者、あるいは鋳掛け屋になる。一部の人間の家族はノームの家庭教師を雇い、彼らの弟子にはまじめな学習と大喜びする楽しさを両立させている。1人のノームが彼あるいは彼女の一生の間にある1つの人間の家族の複数世代に渡る家庭教師を勤めることもある。
ノームの名前
ノームは名前を愛しており、ほとんどの者が半ダースかそこらの名前を持つ。ノームの母、父、氏族の長老、叔母、叔父がそれぞれにノームに名前を与え、その他ほとんどありとあらゆる者たちからさまざまなニックネームを与えられ、時と共に定着したりしなかったりする。ノームの名前は一般的に祖先や遠い親戚の名前の変形であるが、いくつかは純粋に新しく作りだされた名前である。名前に関して“堅苦しい”人間やその他の種族の者と付き合う際、ノームは使う名前を3つを超えないようにすることを学んでいる:個人名、氏族名、そしてニックネームであり、それぞれのカテゴリーにおいて口に出して言うのが最も楽しいものを1つ選ぶ。
男性の名前:
アルストン、アルヴィン、ボディノック、ブロック、バーゲル、ディンブル、エルドン、アーキー、フォンキン、フルグ、ゲルボ、ギンブル、グリム、ジェベド、ケレン、ナムフードル、オリン、ルーンダー、シーボ、シンドリ、ワリン、ウレン、ズーク
女性の名前:
ビンプノッティン、ブリーナ、キャラミップ、カーリン、ドネラ、デュヴァミル、エラ、エリージョベル、エリーウィック、リルリ、ループモッティン、ロリラ、マードナブ、ニッサ、ニクス、オダ、オルラ、ロイウィン、シャミル、タナ、ウェイウォケット、ザンナ
氏族の名前:
ベレン、デールゲル、フォルカー、ガリック、ナックル、マーニグ、ニンゲル、ロールナー、シェッペン、ティンバーズ、トゥレン
ニックネーム:エールスロッシュ、アッシュハース、バジャー、クローク、ダブルロック、フィルチバッター、フニッパー、クー、ニム、ワンシュー、ポック、スパークルジェム、スタンブルダック
世界の見方
好奇心旺盛で衝動的なノームは、世界を見て回る方法として、あるいは探険を愛するがゆえに冒険を始めるかもしれない。宝石や他の素晴らしい品々の愛好家として、一部のノームは、危険ではあっても、素早く富裕になることができる道として冒険に赴く。彼らを冒険に駆り立てるものが何であるかに関わらず、この生き方を選んだノームは彼らが従事する他のあらゆる活動の他からも同じくらいの楽しみを補おうとして、ときに仲間の冒険者たちから大きな苛立ちを招くことがある。
ノームの種族特徴
君のノームのキャラクターは、他のすべてのノームと共有するいくつかの特性を有する。
能力値上昇:
君の【知力】の値は2上昇する。
年齢:
ノームは人間と同じ割合で大人に成長し、ほとんどは40歳前後で成人に達するものと見なされている。彼らは350年からほとんど500年近くに及ぶ人生を生きる。
属性:
ノームの大多数は善属性である。秩序属性の者は賢者、技術者、研究者、学者、調査官、発明家になる傾向がある。混沌属性の者は吟遊詩人、トリックスター、放浪者、奇抜な宝石細工職人になる傾向がある。ノームは善の心を持ち、彼らの中のトリックスターですら、悪意に満ちているというよりは陽気な存在である。
サイズ:
ノームの身長は3から4フィートの間で、平均的に体重40ポンドである。君のサイズは小型である。
移動速度:
君の基本歩行移動速度は25フィートである。
暗視(Darkvision):
地底での生活に適応していることで、君は暗闇や薄暗い光の環境下における優れた視力を持つ。君は60フィート以内の薄暗い光の中をあたかも明るい光の中であるように、また暗闇の中を薄暗い光の中であるかのように見通すことができる。暗闇の中の色を識別することはできず、ただ灰色の濃淡しか識別できない。
ノームの狡猾さ(Gnome Cunning):
君は魔法に対して行なうあらゆる【知力】、【判断力】、そして【魅力】セーヴィング・スローに対して“優位”を得る。
言語:
君は共通語とノーム語について、話し、読み、書くことができる。ノーム語は、ドワーフ文字を使って書き表され、技術的学術論文や自然世界に関する知識の目録などで有名である。
副種族:
D&D世界の中には2つのノームの副種族が見られる:フォレスト・ノームと
ロック・ノームである。これらの副種族から1つを選ぶこと。
ノームの第3の副種族、ディープ・ノーム(スヴァーフネブリン)はアンダーダークに点在する小さな共同体で生活している。ドゥエルガルやドラウとは異なり、スヴァーフネブリンは彼らの地上世界の従兄弟たちと同じように善良である。しかしながら、そのユーモアと熱狂ぶりは抑圧的な環境によって弱められており、その発明に富んだ専門的技術の大半は石細工へと向けられている。
出展:『Player's Handbook』
出典:『Sword Coast Adventurer's Guide』
最終更新:2016年09月12日 22:50