対話

091913版
 ダンジョン探検、障害物の突破、そしてモンスターをやっつけるといった事は、ほとんどのD&Dの冒険における重要な構成要素であるが、冒険者たちが他の人々、モンスター、そして世界にある物との対話も、重要性は勝るとも劣らない。ノンプレイヤー・キャラクターは冒険者たちを探索行に送り出し、彼らの任務への報酬を支払ってくれるパトロンや、彼らの目的を達成するための手助けとなる物質的援助を与えてくれる味方、冒険を共にする仲間、彼らの望むものを手に入れるにあたっての障害、そして社交や政治的な舞台におけるライバルともなりうる。モンスターの中には、冒険者たちが彼らの巣穴に押し入って来た際に交渉を持ちかけてくるものもおり、おそらくは、大量の宝物の山や、もっとましは食糧が手に入る見込みなどと引き換えに、英雄たちの命を助けてくれる。話す彫像や魔法の鏡などといったダンジョンの構成物ですら、重要な役割を果たすことがある。
 ロールプレイング・ゲームにおいて対話を取り扱うときには、複数のやり方がある。幾人かのプレイヤーとDMはキャラクターとして会話することを好み、舞台上で役者が役を演じるのと同じ方法でキャラクターを型にはめるやり方を採用する。また別の者たちはキャラクターの対話内容について説明し、キャラクターが喋った内容の基本的な概要を与える方法を好む。どちらのやり方が“正しい”かを決める必要はまったくなく、君が取ったやり方は対話の状況を解決するルールに何ら影響を及ぼさない。
 対話は常にNPCと冒険者たちの間での受け答えで進んでいく。冒険者たちが酒場の主人に道を聞いたり、新しいロープ1巻きを購入したりするときにルールは必要なく、DMはこのようなルーチン的な対話についてキャラクターにプレイを要求したりはしないだろう。ロールプレイは重要な状況においては重要となり、会話の結果が不確定なときにだけ、ダイスが持ち込まれる。冒険者たちが捕虜にしたオークを尋問するとき、そいつはねぐらの場所を白状するかもしれないし、あるいは死に直面してすら沈黙を守るかもしれない。キャラクターの言葉と行動、そして彼らのダイス・ロールが、オークの対応を決定する助けとなる。


態度と応対

 対話遭遇における開始点は、関わっているNPCやモンスターの態度にある。クリーチャーの冒険者たちに対する態度は、その者がどう行動するか、彼らがその者に何らかの要求や要望を出したときにどのような対応をするのかといった事を決定する。
 対話が行われている間に、冒険者たちは要求や要望を出すことができ、ダンジョン・マスターはそのキャラクターに影響を与えるための【魅力】判定を要求してくるかもしれない。この判定の結果はキャラクターの態度によって制限を受ける。
 【魅力】判定の結果が悪かったとしても、単にキャラクターの態度を変えないだけである点に注意すること;低いロール(10未満)は、単純にその冒険者はそのキャラクターに最初の応対以外のことをさせる決意を促せなかったことを意味するだけである。

友好的

 友好的なキャラクターはその冒険者の成功を手助けしたいと欲し、それを望んでいる。これらのキャラクターは味方であり、彼らはキャラクターたちを信頼している。友好的なキャラクターは彼らに対し、彼らお互いの経歴の結果によって、忠誠心、感謝の念、あるいは奉仕の念を抱いている。友好的な状態で遭遇を開始するキャラクターは少数である。
 友好的なキャラクターとのやりとりを行なう際に判定を行なうことを求める唯一の理由は、個人的なリスクを負ってもらおうとか、冒険者たちのために自らを犠牲にしてもらおうという場合だけである。そうでなければ、特別な危険、尽力、あるいは経費を要さない作業やアクションについては、友好的なキャラクターは通常間違いなく手を差し伸べてくれる。
友好的なNPCの反応
難易度 結果
デフォルト そのNPCは、危険や犠牲を伴わない要求について、君が望んだ通りに実行する。
10 そのNPCはちょっとした危険や犠牲をも受け入れて君が望むように行動する。
20 そのNPCは顕著な危険や犠牲をも受け入れて君が望むように行動する。

中立的

 中立的なキャラクターは冒険者たちに対して何ら特別な繋がりを持たない。彼らは冒険者たちを助けるかもしれないし、妨害するかもしれず、それは彼らにどんな利益があるかという点を最も重視する。大部分のNPCは通常の状況では中立的な状態で遭遇を開始する。
 キャラクターが中立的であることは、その人物がよそよそしいとか、無関心である事を意味するわけではない。中立的なキャラクターは、礼儀正しかったり、親切であったり、無愛想であったり、怒りっぽかったり、あるいはそれらの中間のどんな状態でもありうる。中立的であるというのは、そのNPCが冒険者のために積極的に動いてあげようとはしない事を意味しており、またそのNPCから味方と言えるほどの支援をまだ得ていない事を意味しているのである。
 通常、判定は冒険者たちが中立的なキャラクターに何かしてもらおうと説得する場合に必要とされる。
中立的なNPCの反応
難易度 結果
デフォルト そのNPCは助けてくれないし、危害も加えてこない。
10 そのNPCは危険を負うことも、犠牲を払うこともない事であれば、君が望む事をしてくれる。
20 そのNPCはちょっとした危険や犠牲であれば、君が望む事をするために受け入れてくれる。

敵対的

 敵対的なキャラクターは冒険者たちと彼らの目的に反対している。彼らは敵であり、冒険者たちが失敗するように積極的に働きかけてくる。彼らはしばしば冒険者たちに危害を加えたり、妨害したりするためにアクションを取る。
 しかしながら、キャラクターが敵対的であることは、そのキャラクターが視界に入り次第即座に攻撃を仕掛けてくることを意味するわけではない。たとえば、謙遜めいた態度を取る貴族が、成り上がり者の冒険者たちを王の寵愛を彼が受け続けるためのライバルと見なし、彼らが失敗するのを見たいと願っているかもしれない;この場合、この貴族は冒険者たちに対して敵対的であるが、彼は冒険者たちの努力を挫くために、直接的で物理的な暴力を用いるのではなく、誹謗中傷や陰謀を巡らす方を選ぶだろう。
 敵対的なクリーチャーに対して冒険者たちの利益のために何かをするよう同意させるには、ほとんど常に彼らは相当に困難な【魅力】判定を行なう必要がある。
敵対的なNPCの反応
難易度 結果
デフォルト そのNPCは君の活動に対立しており、そのためであれば敢えて危険すらも取るかもしれない。
10 そのNPCは手助けもしないし、危害も加えないことに同意する。
20 そのNPCは彼らには危険も犠牲も伴わないのであれば、手助けをしてくれる。


態度を変える

 キャラクターの態度は確固として不動のものではなく、パーティと対話を行なったキャラクターの態度は会話を通じて変化するかもしれない。態度は流動的なものであり、進行中の対話に基づいてときに移行する(一時的な移行も、恒久的な移行もどちらもありうる)。
 キャラクターの態度の恒久的な変化には著しい努力を必要とする。ちょっとした会話だけで態度を完全に変化させるという事は不可能であるが、時間をかけて行なえば変化させることはできる。キャラクターの態度は行動に対する応答として変化するのであり、言葉で変わるものではない。もしあるキャラクターが冒険者たちに手助けを申し出たとして、その申し出を乱用するようなら、そのキャラクターは敵対的になるかもしれない。同様に、パーティの行動から利益を得た敵対的なキャラクターは中立的や、もしかすると友好的にすらなりうる。何らかの対話の後、その対話の内容が、長期的な結果としてそのキャラクターにとって害となるか利益となるのであれば、ダンジョン・マスターは彼あるいは彼女が次にパーティと対話する際に、その態度を変化させることができる。
 しかしながら、キャラクターの態度の一時的な変化はいくぶんか容易に起こり、対話の結果に重大な影響を持ち得る。もし冒険者たちが対話の中で正しい事を言ったり行なったりしたなら、彼らは敵対的なキャラクターを一時的に中立的にしたり、あるいは中立的なキャラクターを一時的に友好的にしたりできる。同様に、失言、侮辱、あるいは有害な行動は友好的なキャラクターを一時的に中立的にしたり、あるいは中立的なキャラクターを敵対的にしたりするかもしれない。
 一般的に、キャラクターの態度を1回の対話の間に1段階よりも大きく変化させることはできない(一時的にせよ、恒久的にせよ)。


理想、欠点、絆

 全てのキャラクターは理想、欠点、絆として知られるキャラクターの特徴を持っており、これらはキャラクターの態度を一時的に変化させるための対話において使用されうる。対話において、キャラクターの理想、欠点、あるいは絆の関係上、肯定的にとらえられるなら、そのキャラクターの態度は良い方向に行こうしうるし、その逆もまた同様である。
 理想は、そのキャラクターの特定の事柄における行動の動機付けとなる。これがそのキャラクターの人生の目的から核となる信念まですべてを包括している。
 理想は次のような質問のいずれにも答えを出すかもしれない:そのキャラクターが決して裏切ることのない原理は何か? そのキャラクターに犠牲を厭わなくさせるものは何か? そのキャラクターを行動に駆り立て、その目的と野心を導くものは何か? そのキャラクター必死になる唯一にして最も重要な事柄とは何か?
 欠点とはそのキャラクターの悪習、衝動強迫、恐怖、そして弱点である。
 欠点は次のような質問のいずれにも答えを出すかもしれない:そのキャラクターを怒らせるものは何か? 彼あるいは彼女が怒りを表さずに語ることができない唯一のものは何か? そのキャラクターが恐れるものは何か? 彼あるいは彼女をひどく怯えさせる人物、概念、あるいは出来事は何か? そのキャラクターの悪習は何か?
 は世界における人々、場所、そして出来事に対するそのキャラクターの繋がりを表している。
 絆は次のような質問のいずれにも答えを出すかもしれない:そのキャラクターが最も気にかけている人物は誰か? そのキャラクターが特別な関係を感じている場所はどこか? そのキャラクターの所持する最も価値ある品は何か?
 対話における依頼や陳述内容が、キャラクターの理想、欠点、あるいは絆に関係するときにはいつでも、それはキャラクターの反応に対して良い影響か悪い影響を及ぼすことがあり、そのキャラクターに行動を起こすよう説得することをより容易にしたり、困難にしたりする。ここにいくつかの例を示す:
  • あるドルイドの理想には森を守るという事が入っている。そのドルイドに森を焼き払う手助けをして欲しいと頼むことは、この理想に反することであり、このドルイドの反応を敵対的な方向に行こうさせるかもしれない。
  • 盗賊ギルドの首領は利益と盗みに関わる理想を持っている。このギルドマスターに強盗をうまく行なうための助けを求めることは、この理想に適っており、より良好な反応を得られるかもしれない。
  • あるバーバリアンの長は、弱いと思われることに恐怖を感じるという欠点を持っている。彼に戦闘から退くように説得することは、この恐怖を促進することになり、彼の態度を敵対的なものへと移行させうる。
  • ある農夫の欠点は、彼の農場がオークたちの略奪によってふみにじられるかもしれないという恐怖である。キャラクターたちがこの怖れを代わりに何とかすることができるのであれば、彼に家に逃げるよう説得することはごくたやすいことである。
  • あるパラディンの絆には、彼の故郷の村への並々ならぬ愛情の念が含まれているかもしれない。彼に攻撃からこの村を守るよう求めることは比較的簡単な作業である。

キャラクターの特徴を知る

 もし対話の前、あるいは対話の最中に、冒険者たちが別のキャラクターの理想、欠点、あるいは絆を知ることができるなら、彼らは盲滅法に対話を試みるよりも、はるかに優位な立場を得ることができる。キャラクターの特徴を知ることは、そのキャラクターを否定的にさせるような落とし穴に落ちる事を回避でき、また最も有利な方法で彼らの要求を提示することを可能にしてくれる。
 別のキャラクターとの対話を最低でも10分行なった後、会話を通じて対象の人格と特徴を感じ取ることで、キャラクターは【判断力】〈洞察〉判定を行ない、そのキャラクターの理想、欠点、あるいは絆の1つを明らかにしようとすることができる。プレイヤーは彼あるいは彼女が明らかにしたい特徴をどの種類(理想、欠点、絆)にするかを宣言し、その難易度は対象の【判断力】の値に基づいて決定される。より高い【判断力】を持つキャラクターはより自分自身の制御に長けており、より上手に自らの内なる関心事を隠蔽することができる。
 キャラクターが意図的に特徴を隠そうとしているのであれば、難易度は最大で10上昇する。もし冒険者の判定が10以上の差で失敗したなら、そのプレイヤー・キャラクターは特徴を誤って認識してしまうかもしれない。DMは嘘の特徴を与えるか、あるいはそのキャラクターの持つ特徴の1つの正反対のものを与えても良い。たとえば、ある老賢者の欠点は教養のない者に対して偏見を持っているという事にあるのだが、正反対にその賢者は抑圧された人々への教育の面倒を個人的に見るのを楽しんでいると判定してしまうかもしれない。


対話の解決

 それぞれのキャラクターに彼あるいは彼女どの程度対話に参加したいのか確認し、そのプレイヤーがキャラクターの理想、欠点、そして絆について知ろうとした事すべてについて見出すための時間をとった後、DMは【魅力】判定を行なうよう宣言することができる(そのキャラクターが取るアプローチに応じて〈威圧〉、〈ごまかし〉、あるいは〈説得〉の技能が適用されるかもしれない)。この【魅力】判定は対話の到達点であることを示すものであり、その結果に基づいた対象の行動方針を決定するものである。
 1つの対話に参加している別のキャラクターも、良きにせよ悪しきにせよ、これに影響を与えることができる。もし援護しているキャラクターがその対話に良い方向で影響を与えるような何かを言ったり行なったりしたなら、【魅力】判定を行なうキャラクターはその判定に“優位”を得る。反対に、“援護”しているキャラクターが何かバカげた事や攻撃的なことを言ったりしたなら、【魅力】判定を行なうキャラクターはその判定に“不利”を受ける。
 いったん判定が行なわれたなら、それ以上の試みは通常は実を結ぶことはない。少なくともある程度の時間の間は。もしプレイヤーたちがいったん判定がなされて結果が出ている問題をしつこくせがんだりすれば、彼らは相手の気分を害したり、怒りを招いたりする危険を冒すことになり、ことによると彼あるいは彼女の態度を敵対的な方向に移行させることにもなりかねない。

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最終更新:2014年06月19日 16:54