エルフ（種族）

{「これほどの美が存在するとは思ったこともありませんでした」ゴールドムーンが静かに言った。その日の行程はきつかったが、その先には夢にも思わない報酬が待っていた。彼らは高い崖の上から伝説の都クォリノストを見下ろしていた。
都の四隅からは、ほっそりとした四基の尖塔が紡錘のようにきらめいてそびえ立っている。その燦然と輝く白い石に、銀の大理石模様がまばゆい。優美なアーチが尖塔から尖塔へと空を横切っている。それはいにしえのドワーフの金属細工師の技により、一軍隊の重みにも耐えるほど頑丈なのに、外見は非常に繊細で、鳥が一羽とまっただけでも均衡をくずしてしまいそうに見える。この輝くアーチが都の唯一の境界だった。クォリノストには城壁はない。エルフの都は、愛情深く荒野に腕を広げていた。}―マーガレット・ワイス＆トレイシー・ヒックマン（著）、
安田　均（訳）
『ドラゴンランス戦記2　城塞の赤竜』

エルフはこの世のものならぬ優雅さを持つ魔法の民であり、この世界で生活をしてはいるが、その完全な一部という訳ではない。彼らは古の森林の真ん中だとか、鬼火にきらめく銀の尖塔などといった、霊妙なる美しさを持つ場所に住んでおり、そこには柔らかな音楽が流れ、そよ風に乗ってかぐわしい芳香が漂いこんでくる。エルフたちは自然と魔法を愛し、芸術作品と芸術的技巧を愛し、音楽と詩を愛し、そして世界の良き事々を愛している。

▼高慢だが親切

細身で優雅

この世のものならぬ優雅さと洗練された特徴と持つエルフたちは、人間や他の多くの種族のものたちにとって忘れ難いような美しさに見える。彼らは平均的な人間よりも若干背が低く、5フィートを下回らない程度から6フィートをちょっと超える程度までの身長である。彼らは人間よりもかなり細身であり、体重はわずか100ポンドから145ポンド程度である。男性と女性はおおよそ同じくらいの身長であり、男性の方が女性よりもかすかに体重が重い。
エルフの体色は通常の人間と同じくらしの幅が含まれており、また肌の色には赤銅、青銅、ほとんど青白いほどの色合いが含まれ、髪の色には緑や青、瞳の色には金や銀の池のような色合いが含まれる。エルフには髭はなく、体毛は薄い。彼らは明るい色合いの優雅な衣類を好み、質素ながらも美しい宝飾品を好む。

時間を超越した考え方

エルフは700年を優に超える人生を送り、より短い人生をしか生きない種族にとってはより深刻になりうる厄介事に対しても、大きな展望をもって当たることができる。彼らは興奮に興じるより日常的な楽しみを、貪欲であるより詮索好きである傾向にある。彼らは些細な偶然の出来事には無関心で心を騒がすことがあまりない。しかしながら、目的を追求する際には、それが任務のための冒険行であろうと、新しい技能や工芸を学ぶことであろうと、エルフたちは集中力を高め、徹底的になることができる。彼らは友や敵をゆっくりと作り、彼らのことを忘れることすらもゆっくりとしている。彼らは些細な侮辱には軽蔑で応え、深刻な侮辱には復讐で応える。
若木の枝と同じように、危機に直面した際、エルフは柔軟である。彼らは交渉に信頼を置いており、意見の相違が暴力に発展する前に解決するべく歩み寄りを見せる。彼らは、故郷の森への侵入者から逃げることで知られており、侵入者たちが出て行くのを単に待てば良いと確信している。しかし必要となれば、エルフたちは断固とした軍事的側面を見せ、剣、弓、そして戦術の腕前を示してくる。

秘密の森林世界

大部分のエルフは森に隠れた小さな村に住んでいる。エルフたちは狩りをし、食糧を採集し、野菜を育て、その技能と魔法のおかげで、土地を開墾したりや耕作したりする必要なしに自分たちを養っていくことができる。彼らは有能な職人であり、優れた衣類と工芸品を作り出す。彼らは外部との繋がりは通常は限られているが、ごく一部のエルフは、金属類を手に入れるために（彼らは採掘業には興味を持たない）、製作したアイテムを交易して生計を立てている。
彼らの土地以外で遭遇するエルフは、一般に旅の吟遊詩人、職人、賢者である。人間の貴族は、彼らの子弟に剣術や魔法を教えてもらうために、エルフの教師を雇い入れることがある。

探険と冒険

エルフたちは放浪熱に浮かされて冒険の旅に出る。彼らは非常に長い人生を生きるため、探険と発見に何世紀もかけることができる。彼らは、一日一日は厳格に管理されているにも関わらず、10年単位では絶えず変化し続けているような人間社会のペースを好まず、そのため、自由に旅をすることができる職業を見つけ、自分自身のペースを作る。またエルフは、自身の戦闘技術を訓練し、より強大な魔法のパワーを手に入れることを好み、冒険行はそうした事を可能にしてくれる。中には抑圧に抵抗する戦いを行なっている反乱軍に加盟する者もいるし、また別の者の中には、道徳的な大義の擁護者になる者もいる。

エルフの名前

エルフは、100歳の誕生日より後のどこかの時点で、自分自身で成人になったと宣言するまでは子供と見なされ、その時より前は子供名で呼ばれる。
成人の宣言をすると、エルフは成人名を選ぶが、子供時代の彼あるいは彼女を知る者たちは子供名を使い続けるかもしれない。個々のエルフの成人名は独自に命名されるものであるが、尊敬する個人や他の家族のメンバーの名前を反映するものとなるかもしれない男性名と女性名の差異は少ない；ここに示した分類は一般的な傾向を示すものに過ぎない。加えて、すべてのエルフは一般的には他のエルフ語の組み合わせで構成されている、家族名を持つ。人間の間を旅するエルフの一部には、家族名を共通語に翻訳している者もいるが、エルフ語のままで使い続ける者もいる。
子供の名前：アラ、ブリン、デル、エリン、フェーン、インニル、レエル、メラ、ナイル、ナエリス、ファン、ラエル、リン、サイ、シリン、ジア、ヴォール
成人男性の名前：アドラン、エイラー、アラミル、アラニス、オウスト、ベイロ、ベリアン、キャリック、エニアリス、エルダン、エレヴァン、ガリンダン、ハダライ、ヘイアン、ヒモ、インメラル、イヴェリオス、ロウシアン、ミンダルティス、ペイリアス、ペレン、クァリオン、リアルドン、ロレン、ソヴリス、ザミオール、ザリヴォル、ゼレン、ヴァリス
成人女性の名前：アドリエ、アルゼア、アナストリアナ、アンドラステ、アンティヌア、ベスリナ、ビレル、ケイリン、ドゥルシリア、エナ、フェロシアル、イエレニア、ジェレネス、キーリス、リシャンナ、リア、メリエル、マイアリー、ナイヴァラ、クェレナ、クィラス、サリエル、シャナイラ、シェイヴァ、シラクィ、ゼイラストラ、ジア、ヴァダニア、ヴァランゼ、ザナフィア
家族の名前（共通語の訳）：アマキイル（ジェムフラワー）、アマスタシア（スターフラワー）、ギャラノデル（ムーンウィスパー）、ホリミオン（ダイアモンドドュー）、イルフェルキイル（ジェムブロッサム）、ライアドン（シルヴァーフロンド）、メリアムネ（オークンヒール）、ナイーロ（ナイトブリーズ）、シアノデル（ムーンブルック）、シロシエント（ゴールドペタル）

エルフの種族特徴

エルフのキャラクターは、何千年ものエルフの洗練によって生まれた、さまざまな生来の能力を有している。
能力値上昇：
君の【敏捷力】の値は2上昇する。

年齢：
エルフは肉体的には人間と同じ歳月で成人するが、成人に関するエルフの解釈は、世間での経験を含むため、身体的成長以外にもその解釈が及ぶ。一般的にエルフは100歳くらいで成人と見なされ、成人名を名乗るようになり、750年ほど生きることができる。

属性：
エルフは自由、多様性、そして自己表現というものを愛しているため、混沌の穏やかな面を強く持つ傾向にある。彼らは他者の自由を守ることに、自らの自由を守ることと同じくらい価値を置いており、その大部分が善以外であるよりも善属性である。

サイズ：
エルフは身長約5～6フィートで、細身の体格をしている。君のサイズは中型サイズである。

移動速度：
君の基本歩行移動速度は30フィートである。

暗視（Darkvision）：
薄明りに照らされた森と夜空に適応しているため、君は暗闇や薄暗い光の環境下で優れた視力を持つ。君は60フィート以内の薄暗い光の中をあたかも明るい光の中であるように、また暗闇の中を薄暗い光の中であるかのように見通すことができる。暗闇の中の色を識別することはできず、ただ灰色の濃淡しか識別できない。

鋭敏感覚（Keen Senses）：
君は〈知覚〉技能に習熟を有する。

フェイの血筋（Fey Ancestry）：
君は魅了状態にされるのを抵抗するセーヴィング・スローに“優位”を持ち、また魔法で眠らされることはない。

トランス（Trance）：
エルフは眠る必要がない。代わりに、彼らは1日に4時間、半覚醒状態のままでの、深い瞑想を行なう。（共通語の言葉では、こうした瞑想を“トランス”と呼ぶ）。瞑想をしている間、君はある種の夢を見ることができる；そうした夢は実際には何年にも及ぶ訓練を通じて繰り返すことができるようになった精神鍛錬である。このようにして休憩を取った後、君は人間が8時間の睡眠をとったときに得るのと同じ利益を得る。

言語：
君は共通語とエルフ語を話し、読み、書くことができる。エルフ語は流麗で、語調が穏やかで、難解な文法を持つ。エルフの文学は豊富で種類がさまざまにあり、彼らの歌と詩は他の種族の間でも有名である。多くのバードは、自らのレパートリーにエルフ語のバラードを加えるために、彼らの言語を学んでいる。

亜種族：
エルフの民の間で古代に起こった分裂によって、3つの亜種族が生まれた：ハイ・エルフ、ウッド・エルフ、そして一般的にはドラウと呼ばれているダーク・エルフである。本書においては、選択肢として、これらの亜種族の内2つを紹介する。いくつかの世界では、これらの亜種族はさらに細かく分かれており（フォーゴトン・レルムのサン・エルフとムーン・エルフなど）、君が望むのであれば、君はさらに細かい範囲の亜種族を選ぶことができる。

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最終更新：2016年09月12日 22:47

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