カース、血塗られた手 KAS, THE BLOODY HANDED
痕跡霊レベル4
呪縛難易度25
かつてリッチ―現在は神―のヴェクナの副官であったカースは、彼の主を裏切り、結果的に彼ら双方の破滅をもたらしたと思われる戦いを煽動した。ともかくも、この伝説的な闘争が終わった後までもカースとヴェクナは戦い続けたが、再びかつての地位を取り戻したのはヴェクナだけであった。痕跡霊であるカースは、ヴェクナと他のあらゆるアンデッドを憎悪し続けている。
伝説:
“すべての秘め隠されたるものの主”ヴェクナは、かつて残酷な心を持ったリッチであったことは秘密でも何でもない。しかし、この神の過去に潜む1人の人物、この“不具の王”に障害を負わせ、この多元宇宙で最も悪名高いアーティファクトの1つを生み出す原因となった裏切り者について知る者は数少ない。その人物こそ“血塗られた手”カースである。
ヴェクナがオアースの世界の権力の座に上る際、彼の黒い軍旗の下に死者の軍勢が蜂起した。これらのアンデッドの軍勢の中から頭角を現したのが、鉄に覆われし死の影たるヴァンパイアのカースであった。無数の暗黒の戦場の支配者で、そこでカースは彼が仕えるリッチの君主のために刃による武功を捧げてきた。ヴェクナの戦士たちの中で最強であった訳ではないが、カースはその狡猾さと残忍さとを証明し、その君主に対する恐怖を露わにせず、ヴェクナの覚えを得るにふさわしい資質を示した。作戦につぐ作戦でカースが成功を重ねるにつれ、ヴェクナは自らのチャンピオンに対し、かつてないほどの地位と不浄なる財宝をもって報いた。最終的に、ヴェクナはカースに対して彼の副官の地位を与え、このヴァンパイアに対して彼自らが星々の世界から落ちてきた黒い金属を用いて鍛えあげた剣を与えた。
カースと彼の悪名高い刀剣は何年もの間ヴェクナの軍隊を統率し、このリッチの名の下に数え切れない魂をもたらし、彼の君主の血に飢え、残酷きわまりないという伝説を築くこととなった。戦争を行なうにつれカースは権力を増大させ、その野心も膨れ上がっていった。ついに、ヴェクナの軍がつまずくときが来た。戦場において著しい損耗を被った後、弱体化したヴェクナが自らの玉座に戻ってみると、そこで彼はカースが待ち受けているのを発見した。その黒い刀剣で武装した裏切り者カースは一撃を繰り出し、続いて強大窮まる戦闘が開始された。この疲れることがなく、死ぬこともない悪魔たちの戦いがどれほどの長きに渡ったのかは誰も知らない―ある者は何ヶ月にもわたったと言うし、また何年にもわたったと主張する者もいる。その戦いにおいて、ヴェクナの暗黒のパワーをものともせず、カースはこのリッチの左手を肉体から切断し、その眼を顔から抉り出した。自らの破滅に恐怖したヴェクナは、とてつもなく危険極まりない魔法を使い、彼自身とカースの両方を滅ぼした―あるいはそう見えた。
数世紀が過ぎ、ヴェクナのカルトが結成され、そのリッチの切断された手と眼が伝説となる一方、カースの名前は、その黒い剣に関わる事を除き、記憶から薄れていった。しかしながら、ごく僅かな者は知っているが、どういうわけか神々ですら避けるいずこかの霧に包まれた世界において、ヴェクナとカースは今も存在し、この世のものならぬ戦いを続けているという。計り知れないほどの年月、この最大のライバルたちは無力な怒りに身を任せていた。結局、忍耐強い計画と、神々にすら匹敵する天賦の才能、そして根源的な魔法の力によって、ヴェクナはその牢獄を打ち破って脱出し、神位に上りつめ、そのライバルをエーテルの彼方に追放したのである。
カースに何が起こったのかは誰も―今でも彼と関わりを持てるバインダーたちですら―知らない。砕けた次元界の大渦巻と神の魔法の中に捕らわれているカースは、何らかの新たな存在、永劫の牢獄に追いやられており、そこで彼を幽閉したヴェクナへの恨みに燃えている。しかし、痕跡霊―あるいはそれに極めて近い存在―として、彼は再び定命者たちの世界に影響力を及ぼし、破壊の種子を広め、彼のライバルで神となったイモータルの野望をくじくべく活動を開始している。
特殊条件:
なし
霊の発現:
カースは秘紋から剣を持った姿で現れる。まず金の斑紋のついた赤い革で覆われ、ユニコーンの角の形をした鍔を持った剣の柄が現れる。護拳籠は金でできており、鍔から柄頭にまで延びた嫌らしい目つきの鬚面の顔の形をしており、あたかも刃が地面から起き上がる痛みに顔をしかめ呻き後ををあげているかのようである。秘紋から甲高い金切り声が上がると同時に閃光が走り、乳白色の輝きを放つ、夜のように黒い波打った刃が出現する。急激な動きと共に剣全体が自由になり、その時点では分からないが、黒ずみ乾燥している手の甲が刃の端に伴っている。その後、剣は直立し、くるりと回り、その骨ばった掌からうるんだ猫のような目が開く。カースが話す時、彼の深く怒りに満ちた声は護拳籠から発せられるが、その掌の目は召喚者をじっと注視し続ける。
徴候:
呪縛者がカースと契約を結ぶ時、その両の掌の上に怒りに満ちた猫のような目が開く。これらの目は、呪縛者に何らかの変則的な視覚を与えることはないし、手の使用を妨げたりすることはない。呪縛者がカースによって与えられる何らかのパワーを使用する時、この目は10ラウンドに渡って少量の血の涙を流す。
影響:
カースの影響により、呪縛者は話をする相手に対して、思いやりのある優しい行動をとるようになる。さらに、カースは宿主に対して、遭遇するあらゆるヴェクナの信奉者とアンデッド・クリーチャーを殺すように要求する。その上、召喚と呪縛を行った後の最初の1時間、カースは呪縛者に対して友人や仲間に対して何らかの裏切りを行うように要求する。この裏切り行為は、約束の時間を破るといった小さな事から、殺人のような重大な事まで何でもありうるが、必ず予期し得ない事でなければならず、仲間や友人にそれが故意に行われた裏切り行為であると分からなければならない。
付与能力:
カースはバインダーに、フィーンドを欺き、敵を盲目にする能力を与える。加えて、カースはバインダーを敵の最悪の一撃から守護してくれる。
盲目化打撃 Blinding Strike:
クリティカル・ヒットを命中させた時、命中を受けたクリーチャーは意志セーヴ(難易度10+バインダー・レベルの半分+【魅力】ボーナス)を行わなければならず、失敗すると恒久的な
盲目状態に陥る。さらに、君がアンデッド・クリーチャーを攻撃する時、それらのクリーチャーに対してクリティカル・ヒットとこの能力による盲目化効果を与えることができる。
はったりボーナス Bluff Bonus:
君は〈はったり〉判定に+4技量ボーナスを得る。
カースの守護 Kas's Protection:
カースを呪縛している間、君に対して行われたあらゆるクリティカル・ヒットや急所攻撃は、25%の確率で無効化され、通常のダメージだけが与えられる。アンデッドによって行われた急所攻撃やクリティカル・ヒットは常に無効化される。
アンデッド狩り Undead Reaper:
近接攻撃か遠隔攻撃でアンデッドに命中させた時、君はそいつの持つあらゆるダメージ減少を無視する。
武器習熟 Weapon Proficiency:
君はバスタード・ソード、ロングソード、ショート・ソードに習熟する。
出典:
『Dragon #341』p.69
関連項目
最終更新:2013年11月17日 07:38