D&D

シャドウキャスター(キャラクター・クラス)

シャドウキャスター Shadowcaster


バインダー  ヒット・ダイス:D8
レベル 基本攻撃ボーナス 頑健セーヴ 反応セーヴ 意志セーヴ 特殊
1 +0 +2 +0 +2 影の基本秘儀、下級の秘儀
2 +1 +3 +0 +3 ボーナス特技;本文参照
3 +1 +3 +1 +3 暗黒の視界(暗視30フィート)
4 +2 +4 +1 +4 ボーナス基本秘儀
5 +2 +4 +1 +4 影による健康維持(1週間1食の食事)
6 +3 +5 +2 +5
7 +3 +5 +2 +5 下級の秘儀(擬似呪文)、中級の秘儀
8 +4 +6 +2 +6 ボーナス基本秘儀
9 +4 +6 +3 +6
10 +5 +7 +3 +7 影による健康維持(1日1時間の睡眠)
11 +5 +7 +3 +7 暗黒の視界(暗闇を見通す60フィート)
12 +6/+1 +8 +4 +8 ボーナス基本秘儀
13 +6/+1 +8 +4 +8 下級の秘儀(超常)、中級の秘儀(擬似呪文)、上級の秘儀
14 +7/+2 +9 +4 +9 基本秘儀回数無制限
15 +7/+2 +9 +5 +9 影による健康維持(毒と病気への完全耐性)
16 +8/+3 +10 +5 +10 ボーナス基本維持
17 +8/+3 +10 +5 +10
18 +9/+4 +11 +6 +11
19 +9/+4 +11 +6 +11
20 +10/+5 +12 +6 +12 ボーナス基本秘儀、影による健康維持(呼吸、食事、睡眠不要)
クラス技能(レベル毎に2+【知】修正値、1レベル時は×4):
【筋】関連・・・ なし
【敏】関連・・・〈隠れ身〉、〈忍び足〉
【耐】関連・・・〈精神集中〉
【知】関連・・・〈呪文学〉、〈知識:次元界〉、〈知識:神秘学〉
【判】関連・・・〈視認〉、〈職能〉
【魅】関連・・・〈威圧〉

「炎の背後、世界の狭間、すべての空虚なる空間、すべての物毎の最終端、我らがいるのはそこだ。物質、光、生命―これらは束の間のものに過ぎない。影、ただ影だけが永遠なる物である。」
―イーダス・コラドラン、影の評議会の第一家の君主

すべての物が、光さえもが、影に落ち込む。影は光の不在を表すものではない。闇の存在そのものを示すものである。それゆえ、影と闇とは死や脆弱さを意味するわけではない。それらは宇宙の根源的状態であり、過去から存在し続けており、現在も存在しており、すべての物が消え去った後までも存在し続けるのである。それは影界、物質界や他の多くの現実の闇の鏡である世界についても言えることである。シャドウキャスターはこの最も基本的な力と次元界とを、自らの暗い目的のために利用する者たちである。彼らは自らを影界につなげることで、実在の究極的な力とのかすかなリンクを維持する。
シャドウキャスターは暗黒についての真の根源的パワーを理解し、自らを影界に調和させ、通常の呪文と同じく強力な影の秘儀を修得する。これら暗黒の術者は異質な魔法の研究者であり、他の呪文の使い手では不安に陥るような世界と魔法に関する神秘的理解を有している。彼らは暗黒のパワーの体得者である―そしてもしかすると、その召使と化している心配もある。

シャドウキャスターの作成

シャドウキャスターは強力な魔法の使い手である。彼女の能力は非常に狭い範囲に集中しており、他の呪文の使い手と比べるといくぶんか汎用性に乏しいものとなっているが、欠如している分を補うだけの絶対的な能力を持つ。影魔法はほとんどの敵には馴染みがなく、特に高レベルにおいては、相殺、中断、解呪がより困難なものとなる。シャドウキャスターの専門と選択した秘道に応じて、彼女は非凡な才能をもった斥候や、念視の達人、影の軍団の司令官、命を奪う者、あるいはそれらの組み合わせとなりうる。大部分の呪文の使い手と同様、彼女の役割は選択した魔法に大きく左右される。
影魔法の暗い道を歩む者は影界の引力に抗うよう自らを強化しなければならない。次元界は付与するパワーが強力になるに従って、シャドウキャスターの魂にはより多くの力が握られる。影と魂の間のこの絶え間ない闘争は、シャドウキャスターの意志と不屈の精神を鍛え上げる。
冒険者グループのリーダーとなるシャドウキャスターはごく稀である。概して自らの神秘の知識と理解、特に影に対する知識と理解を深めることに腐心しているためだ。

能力値:

シャドウキャスターは賢さと大胆さの両方を兼ね備えていなければならず、勉強好きでかつ意志が強くなければならない。【知力】と【魅力】の両方が秘儀にとって大きな影響を与える。【判断力】は知覚力を高めるに役立ち、念視に関連する秘道のいずれかを選択した場合には特に役立つ。シャドウキャスターが鎧を着用することはめったにないため、高い【敏捷力】は間違いなく役立つ。

種族:

シャドウキャスターの大部分は人間かハーフエルフであり、パワー、分別、あるいは知識を追い求める人物がその代表である。ドワーフたちはシャドウキャスターたちの事を、彼ら自身がそのような認識があるかどうかに関わらず、悪の工作員と見なしている。エルフたちは彼らの事を悪の存在であると見なしてはいないが、影魔法は不自然な代物であると見なしており、それゆえ、その使用者たちに悪意がないとしても有害な代物だと考える。それらの種族よりは、ノームたちの方がシャドウキャスターを受け入れる。彼らはシャドウキャスターたちを疑いの目で見ているが、それと同時に、彼らが持っている強力な秘術の秘密に対する衝動と脅威に敬意を払っている。ハーフリングたちはシャドウキャスターのパワーに対して恐怖しているが、暗くひそかな場所に入り込んだり、探検したりする能力に嫉妬の念を抱いている。ハーフオークたちはシャドウキャスターたちに不信感を抱いているが、彼らの能力にある種の羨望を抱いてもいる。しかしながら、有力なシャドウキャスターになれるだけの精神的能力を備えたハーフオークは極めて稀である。

属性:

シャドウキャスターは暗黒のパワー、を扱っており、それはしばしば悪と関連する魔法であり、その世界そのものの歪められた認識を持って生きる。秘道と秘儀を体得すること、そして影界の異質なフィルターを通して世界を認識する事を学ぶことには高度に訓練され、組織化された精神が必要とされる。それゆえ、シャドウキャスターたちはいかなる属性でもありうるものの、善や混沌の属性を持つ者は極めて稀である。

開始時の所持金:

3d4×10(75gp)。

開始時の年齢:

ウィザードと同様。
種族 開始時の年齢
人間 15+2d6歳
エルフ 110+10d6歳
ドワーフ 40+7d6歳
ノーム 40+9d6歳
ハーフエルフ 20+3d6歳
ハーフオーク 14+2d6歳
ハーフリング 20+4d6歳

クラスの特徴

君のクラスの特徴は、影魔法への熟練度を成長させ、影界との本質的接続を深めていくことを表現している。

武器と防具への習熟:

君はすべての単純武器に習熟している。君はいかなる種類の鎧にも盾にも習熟していない。あらゆる種類の鎧が君のジェスチャーを阻害するため、君の秘儀が呪文として機能するときには、それが失敗する可能性が生じる。

影の基本秘儀(超常):

シャドウキャスターとして、より深い影の神秘に触れる前に君はいくつかの基本的なパワーを体得しなければならない。基本秘儀と呼ばれるこれらのパワーは、1日に3回使用することができる超常能力として機能する。君は3つの基本秘儀を持ってゲームを開始し、さらに4レベルの時と、4レベルを超える4レベル毎に1つずつ追加の基本秘儀を獲得する。14レベルに達すると、君は基本秘儀を1日に回数無制限で使用することができるようになる。新たなクラス・レベルを獲得した時には、秘儀の代わりに基本秘儀を選択することができる。基本秘儀を選択する時には、すでに修得している基本秘儀を“再修得”することを選択することもでき、その場合、その基本秘儀の追加の1日の使用回数(訳注:3回)を獲得する。すべての基本秘儀のセーヴ難易度は10+【魅力】修正値である。

秘儀と秘道:

君は他のクラスがするようには呪文を発動しないが、代わりに秘儀と呼ばれる神秘的な秘術を呼び起こす(p.151~166参照)。君は1レベル時には1つの秘儀を修得しており、クラス・レベルが上昇する毎に追加で1つの秘儀を修得する。6レベルまでは、君は下級秘儀しか修得できない。7レベルになると君は中級秘儀を利用できるようになり、13レベルに達すると上級秘儀を使用できるようになる。君が利用できるすべての分類(基本秘儀を含む)から新しい秘儀を選択することができる。たとえば、8レベル時、君は基本秘儀、下級秘儀、中級秘儀のどれからでも選択できる。
影魔法の成長は非常に特殊な段階を踏んで行われる。君は秘道の中を“飛び越える”ことはできないが、君がそう望まないのであれば、1つの秘道を完全に修得する必要はない。ある1つの分類(下級、中級、上級)において、その1つ前のレベルの秘儀を最低でも2つ修得しており、さらに選択しようとしている秘儀の属する秘道の、より低いレベルの秘儀をすべて修得している場合にのみ、新たなレベルの秘儀を修得できる。たとえば、最低でも1レベル秘儀を2つ修得し、そのうちの1つがヴォイス・オヴ・シャドウ(漆黒の囁きの秘道の第1の秘儀)でなければ、君はコングレス・オヴ・シャドウズ(漆黒の囁きの秘道の第2の秘儀)を修得することはできない。しかしながら、君が利用できる分類の秘道における第1の秘儀については、たとえより低い分類の秘道を完全に修得していなくても、いつでも選択することができる。たとえば、3レベル秘儀(これらはすべて下級秘儀に分類される)を全く修得していないとしても、君は中級秘儀の影の幕の第1秘儀(4レベル)であるシャドウ・ヴィジョンを修得することができる。
秘儀は思考パターンや形式を表しておりあまりに異質であるため、他の呪文が比較的単純なもののように見えてしまう。しかしながら君が成長するにつれ、君の影界とのつながりはより強力となり、君の秘儀は君の精髄そのものにより深く根付いてくる。君が下級秘儀しか発動できない内は、それらは全て秘術呪文として発動される。それらは全て動作要素を有し、防具による秘術呪文失敗確率の適用を受け、妨害の対象となる(しかしながら、それらには物質要素、焦点具、音声要素は必要とされない)。君が秘儀を秘術呪文として発動するときにはいつでも、難易度15の〈視認〉判定に成功した観察者は、君が秘儀を発動している時に、君の動きと影の動きが異なっていることに気付く(p.150、『秘儀を探知する』参照)。
7レベルになり、君が中級秘儀を発動することができるようになると(君が実際にそれらを修得することを選択しようがしまいが)、君の下級秘儀は自身の一部分に合一し、擬似呪文能力として機能するようになり、もはや動作要素を必要としなくなる。君が新たに獲得した中級秘儀は(それらを修得した時)、秘術呪文として機能し、上述のルールに従うことになる。
君が13レベルになり上級秘儀を発動できるようになったなら、さらなる変化が起こる。君の上級秘儀は秘術呪文として機能し、中級秘儀は擬似呪文能力として機能するようになる。君の下級秘儀は超常能力となる。(超常能力に関するルールについてはp.150参照。)
君は1つの秘儀を2回以上修得することができる。同じ秘儀を再修得するごとに、その秘儀の1日の使用回数が1セット分増加する。
修得しているそれぞれの秘儀について、それを呪文として発動するのか(1日1回)、擬似呪文能力として発動するのか(1日2回)、あるいは超常能力として発動するのか(1日3回)に応じて、定められた回数だけ使用することができる。「表:一日の秘儀使用回数」にレベル毎の割り当て回数を示しているが、これは君がそこに示されたレベルの秘儀を発動できる場合にだけ適用される。たとえば、7レベル・シャドウキャスターとして、君がより幅広く学ぶことを選択し、4レベル秘儀を修得しなかったなら、君はこの表に示されているそのレベルの1日1回の使用回数を利用できないのである。呪文の使い手と異なり、君は高い能力値によってボーナス秘儀のようなものを受け取ることはない。君は呪文を準備しないが、ソーサラーやバードが呪文スロットを回復するために休息と瞑想を行わなければならないのと同じように、秘儀の使用回数を回復するために、毎日8時間の睡眠と15分間の瞑想をとる必要がある
秘儀を発動するためには、君は最低でも10+秘儀レベルに等しい【知力】の値を有していなければならない。君の秘儀に対するセーヴ難易度は10+秘儀レベル+【魅力】修正値に等しい。従来の感覚からすると、君はシャドウキャスターとして“呪文を発動する(訳注:Cast)”訳ではないが、君の術者レベル(訳注:Caster level)を決定する際にはこのクラスのレベルに等しいものとする。
表:一日の秘儀使用回数
クラス・レベル 1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 1
2 1
3 1 1
4 1 1
5 1 1 1
6 1 1 1
7 2 2 2 1
8 2 2 2 1
9 2 2 2 1 1
10 2 2 2 1 1
11 2 2 2 1 1 1
12 2 2 2 1 1 1
13 3 3 3 2 2 2 1
14 3 3 3 2 2 2 1
15 3 3 3 2 2 2 1 1
16 3 3 3 2 2 2 1 1
17 3 3 3 2 2 2 1 1 1
18 3 3 3 2 2 2 1 1 1
19 3 3 3 2 2 2 1 1 1
20 3 3 3 2 2 2 1 1 1

ボーナス特技:

2レベル以降、利用できる秘道の数の合計(端数切り捨て)の半分に等しいだけのボーナス特技を獲得する。たとえば、ほとんどのシャドウキャスターは2レベルにおいて2つの異なる秘道の最初の秘儀を修得するため、1つのボーナス特技を獲得する。もし3レベルにおいて3番目の秘道の最初の秘儀を修得しても、君はまだボーナス特技は1つだけであるが、4レベルにおいてさらに異なる秘道の最初の秘儀を修得したなら、君は4つの秘道を知っていることになり、2番目のボーナス特技を獲得する。したがって君はある選択肢を持つことになる。すなわち、できるだけ少ない秘道だけを完全に修得して、より高いレベルの秘儀を利用できるようにするか、あるいはよりたくさんの秘道に枝分かれして修得してたくさんの特技を得る代わりに高いレベルの秘儀を少なくするかである。すでに修得している秘道を繰り返し修得しても新しいボーナス特技を獲得することはできないし、基本秘儀はボーナス特技を獲得するかどうかに際しては勘定に入れない。
君はボーナス特技として選択する特技の前提条件を(もしあれば)満たしていなければならない。君が選択できる特技のリストには、任意の呪文修正特技(『プレイヤーズ・ハンドブック』に説明がある)、《影の視覚》《上級秘道熟練》《得意な秘儀》《秘道熟練》《夜の術者》、そして任意の影魔法修正特技が含まれる。

暗黒の視界(超常):

3レベルになると、君の視覚は僅かに影界にまで及ぶようになる。君は30フィートの有効距離の暗視を獲得する。もしもともと暗視を有しているか、あるいは後で他の要素からそれを獲得したなら、この視覚能力の有効距離が30フィート上昇する。11レベルになると、君は完全な暗闇を、たとえそれが魔法の暗闇であっても、60フィートまで完璧に見通すことができるようになる。

影による健康維持(超常):

5レベルに達すると、君と影界とのつながりによって、暗黒のエネルギーを吸収し、いくつかの生理的に必要なものを緩和できる。健康を保つために必要な食事の量は1週間に1食となる。10レベルにになると、君は毎晩1時間の睡眠だけ必要になる(しかしながら、翌日の秘儀の使用回数を回復するためには、やはり8時間の休息が必要となる)。15レベルになると、君は非魔法の病気と毒に完全耐性を得る。最後に20レベルになると、君は呼吸をする必要がなくなり、食事も睡眠も必要としなくなる。

シャドウキャスターをプレイする

君は他のいかなるものよりも遥かに強大な秘術の秘密を体得した者である―あるいは、少なくともそのようになるだろう者である。君は他者が理解していない事実を理解している。すなわち、すべてのパワーは闇から生じるという事実を。あらゆる実在はうわべのものであり、あらゆる物は象徴的なものである。事物の映像―影―を変移させることによって、君はその事物そのものを変化させる。魔法の他の形態、そして他の宗教は、必ずしも劣っているとか、無価値だとか言うわけではない。単にそれらは全体の一部、より深い真実の表層を見ているに過ぎないという事なのである。君は何も存在しない場所にも陰謀が潜んでいると見なす傾向があり、明白な物の背後に影を探すのが習慣となっている。
主に、君は影への理解と体得を仕上げるために冒険に出る。おそらく、君はその秘儀や能力をよりたくさん使用できるようにしてくれる活動、あるいは古代の知識を利用できることを約束してくれるものを好む。同様に君は個人的な目標を優先するかもしれず、シャドウキャスターが富のためや、過去の不当な待遇への仕返しのため、あるいは他の一般的な冒険の動機となりうるような理由のために冒険に出ることは一般的ではない。

宗教

もし君が学者肌であるなら、宗教を避け、自身の全能力を影魔法に集中し、それに身を捧げることを好む。君が宗教を受容するような場合、君が受容する最も一般的な神々は暗黒と神秘的知識と、そして秘密を司る神々、たとえばボカブ、ヴェクナ、そしてウィー・ジャスなどである。

他のクラス

君は他の呪文の使い手たちについて、秘術と信仰のどちらであれ、才能はあるが誤って導かれた者たちであると見なしている。君は他のクラスの者たちの能力に敬意を払っており、君にはできない技を持っている事を認めている。それでもやはり、通常、君は暗黒こそ多元宇宙の究極のパワーであり、他の形態の魔法や、他のパワーに献身する者たちは惑わされた者たちであるという考えを捨てない。ファイターとバーバリアンについては、君が難解な問題に対処する間に、彼らが物理的な脅威を処理してくれる事から、高く評価している。ローグたちは他者の目から隠れる必要があるという事を君は理解しているため、ローグたちと仲間になる事に価値を見出す。君はパラディンとはあまりうまくやっていけない傾向がある。彼らは通常疑いの目を君に向けるだろう。ドルイドについては、彼らは秘儀を自然の外にあるものと見なしている。バードについては、彼らは君を少し頭がおかしい、焦点の定まらないものと見なす。

戦闘

君は、大きなダメージを与えるパワーについては呪文の使い手よりも少ない数しか持たない。1体の敵に対しては、君が適切な秘儀を選択しているなら、あらゆるウィザードとほとんど遜色ないダメージを与えることができる。しかしながら、より多くの数の敵に対しては、君の効果範囲型の能力は敵を弱体化させたり、妨害したりするのに適しており、とどめを刺すのは仲間たちが行なうのだ―少なくとも、君がより高レベルに達するまでは。
もし君が知覚力に関連する秘儀のいくつかを選択したなら、君は入念に準備した待ち伏せ、挟み撃ち、その他の不意打ちを含む戦術行動に特に精通している。君の能力はあらゆる方向から戦場を見通したり、暗闇を見通したりすることを可能にするため、最も効果的に味方に敵の位置を指し示すことができる。
高レベルになると、君は闇の武器や軍団を呼び出すことができるようになり、君自身の身を危険な状況に陥れることなく、非常に多くのリソースを利用して多くの戦闘を切り抜けることができるようになる。この時点で、防具への習熟を得てそれを身に着けることを考慮すると良い。防具の着用による呪文失敗の危険は、上級の秘儀だけであり、そして秘術失敗確率の低い魔法の鎧はその可能性を最小限に抑えてくれる。魔法の盾は特に良い選択である。なぜなら、上級の秘儀を発動するときには脇に置く事ができるが、それ以外の状況では保持できるからである。

成長

シャドウキャスターとして成長を続けるには、相当な時間と労力を必要とする。君は難解極まりない秘術書をよく学ばねばならず、単に新しい秘儀を修得するだけでなく、君が為す事の性質そのものをも理解することになる。君は次元界と力の相互作用について研究しなければならない。また君は、宗教的な理由から影魔法を学ぶことを選択するのかもしれない。その場合、影界が君の信仰体系にどのように適合するのかを見定めること―あるいは少なくとも、他のシャドウキャスターの信仰にどの程度の影響を与えるのか見定め、それによって君がそれらをより良く理解できる。
勉強をしているのではないときには、君は秘儀のその異質な形式を理解するために、自らの精神を鍛錬し、訓練することに時間を費やし、自らの肉体の多くの部分に影の物質を導入する。高レベルになると、君は仲間たちから若干の疎外感を感じ始めるかも知れない。君は友情を維持することが困難だと気付くかも知れない。君の思考パターンと生理的な変化は、君を人間(あるいは君の種族)とはまるで違ったもののように感じさせるようになっていく。
機械的に、君はレベルを上昇させる際、【知力】と【魅力】を上昇させるべきである。さらに、君の選択した秘儀を強化するような特技と技能を集中的に向上させるべきである。

人間のシャドウキャスター開始パッケージ

防具:なし(移動速度30フィート)
武器:クオータースタッフ(1d6、クリティカル×2、4ポンド、両手持ち、殴打)。
技能の選択:以下から3+【知】修正値個の技能を選択すること。
技能 ランク 能力値 防具による判定ペナルティ
〈隠れ身〉 4 【敏】
〈視認〉 4 【判】
〈忍び足〉 4 【敏】
〈呪文学〉 4 【知】
〈精神集中〉 4 【耐】
〈知識:次元界〉 4 【知】
〈知識:神秘学〉 4 【知】
特技:《イニシアチブ強化》。
ボーナス特技(人間):《戦闘発動》。
修得基本秘儀:アロー・オヴ・ダスク(超常、1日3回)、ウィドゥンド・アイズ(超常、1日3回)、ブラック・キャンドル(超常、1日3回)。
修得秘儀:ダスク・アンド・ドーン(呪文、1日1回)。
装備品:背負い袋(水袋、1日分の保存食、携帯用寝具、袋、火打ち石と打ち金が入っている)。覆い付きランタンと油4パイント。呪文構成要素ポーチ。クロスボウ用ボルト10本入りのケース。
所持金:3d4gp。

世界におけるシャドウキャスター

「どちらが私をより悩ませるのかはっきりできればいいのに・・・シャドウキャスターたちは暗黒こそ宇宙で最も強大なパワーだと主張しているが、私も彼らの主張が正しいのではないかと思う節もあるのだ。」
―ジンナ・オーリナ、ペイロアの女神官

シャドウキャスターは、おそらく、PCたちが遭遇するかもしれない中で最も恐るべき魔法の使い手である。彼女の能力は奇怪で暗く、他のクラスの者ではけっして真似できないような事を為し、最も博識なウィザードですら良く知らない魔法を駆使する。敵役としてのシャドウキャスターは、自信に満ち溢れているパーティすらも脅かすことができる。PCとしてのシャドウキャスターは、そのプレイヤーに新しく刺激的な魔法を使用する方法を提供してくれる。おそらくDMにとって最も重要な事は、シャドウキャスターが密かな陰謀のシナリオフックとして使える点である。彼女のことを理解しない人々による恐怖と憎悪を伴った反応から、彼女の持つ神秘的な影界との生来の繋がりまで、1人のシャドウキャスターによって、一連の冒険全体の理由づけを提供してくれる。

日常生活

冒険に出ているのではないとき、シャドウキャスターはその多くの時間を勉強と瞑想、沈思黙考に費やす。ウィザードに負けず劣らず、シャドウキャスターは彼らの力とその源に関する新しい発見について絶えず研究していなければならず、また彼らの心をすっかり焼き尽くしてしまうほどの公式と難解な概念について復習しなければならない。これは、シャドウキャスターたちが彼らの神秘的な仕事の他に一切の生活を持たないという事を意味するわけではない。単に他のことに労力を費やす暇がほとんどないという事を意味するだけのことである。

名高いシャドウキャスター

特に有名なシャドウキャスターというのは稀である。影魔法というもの自体、派手な効果を伴わないものなのだ。多くの影の専門家は、彼らを破滅させようとするかも知れない他者の目から隠れておこうとする。それでも、幾人かのシャドウキャスターは、外の世界でまでとはいかないが、仲間たちの間で名声や悪評を獲得する。そうした中にイーダス・コラドランがいる。彼は、すべてのシャドウキャスターたちに対して権限を持つと確信している(彼らの方がそれを認めるかどうかは別として)組織、“影の評議会”における最高議長である。彼の娘アイリンは、“評議会”の“左手”と呼ばれている。“夜の娘”と呼ばれるザーラ・クンは、“曇りし太陽団”の悪名高い用心棒である。そして、ホルアー・シャドウメインは秘密の庵―ある者はそれは影界そのものの事であるとも言う―を送るために世から去ったエルフの神官にしてシャドウキャスターである。

NPCの反応

シャドウキャスターを理解する者はごく僅かであり、彼らを信用する者はなお一層少ない。特に相当な数のシャドウキャスターたちが悪であるか、少なくとも他者に薄情であるため、一般的な闇と悪との関係は単に震えるだけで済ますには余りに難しい。ほとんどの一般的な民衆は、シャドウキャスターに対して他の秘術呪文の使い手に対するのと同様の反応を示す。彼らにはこうした魔法の相違点の区別は全くつかないのである。シャドウキャスターがその普通とは異なる性質を明らかにしたなら―恐らく、明らかに影に関連した効果を発動するか、他の者に彼女の影の不自然な動きを目撃されるかした場合―ほとんどの人々は非友好的になるか、場合によっては敵対的な態度を取るだろう。呪文の使い手もまた、シャドウキャスターの能力について信頼も理解もできないため、非友好的である。しかしながら、闇と影の神格のクレリックは、しばしばシャドウキャスターに対して友好的である。少なくとも最初の段階では。善の属性のシャドウキャスターは、通常こうした反応を時間と機会を捕らえて克服できるが、それには相当の努力を要する。
光の神格のクレリックは、シャドウキャスターに対して特別に敵対的であり、シャドウキャスターが味方であることを照明したとしてさえも、多くは敵愾心を持ち続ける。同様に、闇に潜む悪のクリーチャーはシャドウキャスターを危険な存在と見なしており、秘儀の使用者たちが彼らの弱点を容易に見つけ出し、彼らのパワーを利用することを恐れるのである。彼ら自身の方では、シャドウキャスターたちは通常そうした敵意に対して同じように敵意をもって報い、それぞれを潜在的な脅威とみなす。

シャドウキャスターに関する知識

〈知識:次元界〉か〈知識:神秘学〉にランクを有するキャラクターは、シャドウキャスターについてより深く知るために調査をすることができる。キャラクターが技能判定を行なう際、得られた結果と同じかそれ以下の難易度のものを含め、下記の情報を読んで聞かせるか、要約して伝えること。
難易度10:シャドウキャスターは暗黒と影のパワーに集中している魔法の使い手である。
難易度15:シャドウキャスターは影界からそのパワーを引き出し、それを魔法に変えることに精通していると共に、他の専門家たちには異質な存在でもある。彼らは、物質世界の映像としての影と、世界と世界の狭間にある実在としての影の両方について、影こそが唯一永遠に存在する力であると信じている。
難易度20:シャドウキャスターたちは、その研究を継続することによって、影界との結びつきを密接不可分なものにまで成長させる。彼らには最も基本的な生物学的必要物さえも必要なくなり、彼らのパワーは非常に強力なものとなって、その呪文の多くを体得した能力として発動できるようになる。
高度に魔法的な共同体か、暗黒や夜の神が崇拝されている共同体内で難易度20の〈情報収集〉か〈知識:宗教〉判定に成功すれば、シャドウキャスターの居場所が明らかになるだろう。
バードの知識判定でも〈知識〉判定と同様の情報を得ることができるが、その場合には、与えられる各情報について、難易度が5高くなる。

ゲームにおけるシャドウキャスター

進行中のゲームにおいて、シャドウキャスターが存在するのは特定の組織、特にPCたちがまだ関わったことのない組織に制限されるかも知れない。おそらく、特定の大学や教会だけがこれらの秘密を保持しているであろう。最近まで世界のどこかにあったが、影界を通ってどこか別の場所からそこまでやってきたのである。
もし君がシャドウキャスターのPCのプレイヤーを持つなら、そのPCにはときどき活躍の舞台を与えること。シャドウキャスターの魔法は他のクラスのものと比べると、より微妙で、より異質なものである。もしキャンペーンが大規模戦闘を主軸に展開するものであるなら、シャドウキャスターはソーサラーやウィザードよりも劣っていると感じられるかも知れない。彼女がそのような状況でも無力な存在という訳ではないが、1体のより強力な敵と対峙する戦いにおいてこそ真の力を発揮する。また、スパイ活動や詐欺行為を必要とする状況、あるいは通常の戦術が失敗に帰し、創造的な解決法や能力が必要とされるような場合に、彼女は非常に力を発揮する

キャンペーンへの適合

シャドウキャスターの魔法は影界から力を得ており、また影界に焦点を集めているが、他の選択肢も存在する。そのような次元界が存在しない宇宙観においては、シャドウキャスターは夜の神格からそのパワーを引き出し、秘術の使い手ではなく、信仰の使い手として機能する。あるいは、彼らは夜そのものからパワーを引き出しているのかもしれず、その場合、日没後はより強力になるが、日中は弱体化するかも知れない。もしかすると、ある“シャドウキャスター”は全く影を操ることなく、代わりに煙や霧を使って、同様の効果を成し遂げるのかも知れない。

遭遇の例

シャドウキャスターとの遭遇は、彼らお持つ異質で神秘的な能力を感じさせるものとするべきである。これは彼らの秘儀そのものだけに依存するものではなく―もちろん、秘儀こそが注目に値する最も明らかな特徴ではあるが―それらの秘儀を発動する手段、彼らの技法を構成する知識や哲学、そして秘儀と通常の呪文の間の奇妙な相互作用などにも影響される。
遭遇レベル12:アイリン・コラドランは、“影の評議会”の第一家の君主イーダス・コラドランの娘である。彼女の父親が一般的に政治、経営、そして研究業務に携わるのに対し、アイリンは“テネブロウス教団”における最も強力な外交官の一人であり、“第二家の女卿”の称号を保持している。彼女は新しいメンバーを調査し、“教団”への脅威を探り、他の術者たが保持しているかも知れない伝承知識を獲得するために、彼らと取引したり、売買したり、(あるいは他の手段が失敗したなら)奪い取ったりするといった活動に従事している。

アイリン・コラドラン 脅威度13
女性の人間 シャドウキャスター13
秩序にして中立、中型サイズの人型生物
イニシアチブ+3;知覚力=暗闇を見通す60フィート;〈聞き耳〉+0、〈視認〉+16
言語=共通語、エルフ語、地獄語、地下共通語

AC 19、接触13、立ちすくみ16
hp 58(13HD)
頑健+12、反応+10、意志+11

移動速度=30フィート(6マス)
近接攻撃=シックル+5/+0(1d6-1)
遠隔攻撃=ライト・クロスボウ+9(1d8/19~20)
基本攻撃=+6;組みつき=+5
特殊なアクション=《影の発動》、《秘儀威力強化》、《秘儀威力最大化》、《秘儀距離延長》、《秘儀高速化》
戦闘用装備=ポーション・オヴ・インヴィジビリティ、ポーション・オヴ・キュア・モデレット・ウーンズ(×2)、オーブ・オヴ・シャドウ(下級3レベル)
修得している秘儀(術者レベル13):
上級秘道
7レベル―プリズン・オヴ・ナイト(呪文、1日1回、鎧による失敗確率10%、難易度19)
中級秘道
6レベル―シャドウ・ストーム(超常能力、1日2回、難易度20、術者レベル14)
5レベル―ダーク・エア・オア・ウォーター(擬似呪文能力、1日2回、難易度19、術者レベル14)、パス・イントゥ・シャドウ(擬似呪文能力、1日2回、難易度18)
4レベル―オーラ・オヴ・シェイド(擬似呪文能力、1日2回)、シャドウ・エヴォケーション(超常能力、1日2回、難易度17)、ステップ・イントゥ・シャドウ(擬似呪文能力、1日2回)
下級秘道
3レベル―シャープ・シャドウズ(超常能力、1日3回)
2レベル―コングレス・オヴ・シャドウズ(超常能力、1日3回)、サイト・エクリプスド(超常能力、1日3回)
1レベル―ヴォイス・オヴ・シャドウ(超常能力、1日3回)、スティール・シャドウズ(超常能力、1日3回)、ベンド・パースペクティヴ(超常能力、1日3回)
基本秘儀
0レベル―アロー・オヴ・ダスク(超常能力、1日3回、+9遠隔接触)、アンブラル・ハンド(超常能力、1日3回)、ウィドゥンド・アイズ(超常能力、1日3回)、コウル・オヴ・シャドウ(超常能力、1日3回)、サイト・オブスキュアド(超常能力、1日3回)、ミスティック・リフレクションズ(超常能力、1日3回)

能力値
【筋】8、【敏】16、【耐】13、【知】17、【判】10、【魅】16
その他の特殊能力=影による健康維持(飢えへの完全耐性、1日1時間の睡眠)
特技=《影の発動》、《得意な秘儀:シャドウ・エヴォケーション》、《得意な秘儀:シャドウ・ストーム》、《秘儀威力強化》、《秘儀威力最大化》、《秘儀距離延長》、《秘儀高速化》、《秘道熟練:陰影の元素》、《鎧習熟:軽装》
技能=〈威圧〉+11、〈隠れ身〉+18、〈視認〉+16、〈忍び足〉+17、〈呪文学〉+15、〈精神集中〉+11、〈生存〉+0(他次元界では+2)、〈知識:次元界〉+13、〈知識:神秘学〉+13、〈はったり〉+7
所持品=戦闘用装備に加えて、シックル、クロスボウ、ボルト20本、+2ミスラル・シャツ、クローク・オヴ・レジスタンス+3、アミュレット・オヴ・ヘルス+2、グラヴズ・オヴ・デクスタリティ+2、ブーツ・オヴ・エルヴンカインド、エリクサー・オヴ・ヴィジョン

忍び寄る暗闇:マルチクラスのシャドウキャスター

暗闇は広がり、夜は昼に打ち克つ。影に集中して学んだ経験を積んだ呪文発動能力者は、彼らの持つ原初の暗闇への繋がりは、彼らが以前持っていた能力の犠牲の下に素早く成長することに気付くだろう。
マルチクラスのソーサラーやウィザードが新たにシャドウキャスター・レベルを取得したとき、彼女は元々有していたソーサラーやウィザードのレベルを犠牲に捧げ、追加のシャドウキャスター・レベルを得ることを選択できる。たとえば、3レベル・ウィザード/4レベル・シャドウキャスターが新たなシャドウキャスターのレベルを取得した場合、彼は3レベル・ウィザード/5レベル・シャドウキャスターになるか、あるいは2レベル・ウィザード/6レベル・シャドウキャスターになるかの選択ができる。1人のキャラクターは一度にこのようにして1レベル分しか変換できない。
レベルを“入れ替え”るとき、下記の変更を行なうこと:
  • 1ヒット・ポイントを加算する。ソーサラー/ウィザードのd4ヒット・ダイスとシャドウキャスターのd6ヒット・ダイスの平均値の差異を埋めるためである。
  • ソーサラー・レベルを交換する場合、ソーサラーの修得呪文数から適切な数だけ除去しなければならない。レベルを交換したウィザードが呪文書から呪文を失ってしまうことはないが、もはやいくつかの呪文は使用できなくなる
  • そのレベルから獲得していた技能はそのままにしておく;これらのクラスは同数の技能ポイントを持ち、多くの技能が共通であるためだ。
  • ボーナス特技を獲得できるウィザード・レベルを交換する場合、その特技を失う。
  • 通常の特技として(クラスに関連するボーナス特技としてではなく)下記の特技の1つを獲得したときのレベルのいずれかを交換した場合、それらを下記のように交換する:呪文修正特技は類似の影魔法修正特技と、《呪文熟練》は《秘道熟練》と、《上級呪文熟練》は《上級秘道熟練》と入れ替える。
  • それを失うことで、君が有しているそれ以外の特技や上級クラスの前提条件を満たさなくなるような特技や能力を失うことはできない。これは、たとえ最早この“忍び寄る暗闇”の利益を利用することができないことを意味している場合であっても、である。
“忍び寄る暗闇”の概念は、影魔法の異質な側面を表現する以上の意味がある。進行中のキャンペーンに影魔法を導入しようとするDMは、これを使うことで、プレイヤーたちにすでに有しているキャラクターを放棄することなくこの新しいルールを採用させることが可能になる。

出典

『Tome of Magic』p.111

関連項目

最終更新:2013年12月01日 23:47
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