Without meaning to apathetic is the sense in an unattended
Laissez faire is not meaningful to apathetic is the sense
Eventually both is not meaningful
After all is the sense in either the
But I quit an unattended
And you also quit apathetic
This way you and I in the laissez faire apathetic nor became
But little by little to interfere I
Little by little I`m your emotions is born
Do I owe
Looking for emotions and interference
And let`s get started…
第一章――これが「異常」
幼馴染
この言葉を聞けばかなりの確率で小説のような関係を想像するだろう
家が隣だったり、ずっと学校のクラスが同じだったりする不思議と縁がある人間の事だ
追加で、食事を一緒に摂取したりするかもしれない
さらに、過去には一緒に風呂や、睡眠も一緒、みたいなのも入れていい
流石に、一緒に風呂にも入っていないし、一緒に寝てもいない
だが、期待を裏切られたと思うのはまだはやい
それ以外に関しては、ほぼ言えるだろう
想像通りの幼馴染だと
家が隣であるし、俺の部屋から部屋が見えたりする
小学校中学校そして現在高校一年とずっとクラスが同じだ
困る事にそれだけでなく同じだったのは幼稚園の組も同じだっただろう
さらに、期待されているとするなら言おう
小説等の例にもれず美少女だ
見た目は百点かもしれない
それは認める
見た目が悪い小説キャラなどそういないが……
更には学校の登下校も同じだし、学校での弁当も、隣で食べているのを一緒に食べているというならば一緒に食べていると言えるだろう
食事と言えば、朝食、夕食も一緒だ
家では俺と俺の妹、母親と一緒に、我が家のリビングで食べる
幼馴染というのはこういうもののことを言うのだろう
しかしそれは表面的なことにすぎない
小説のキャラの設定のように
ゲームのキャラのプロコットのように
例えば、一緒にご飯を食べていたとしても、一言も話さないでいような関係があったとしよう
例えば、一緒に登校しても、並んでるだけで、会話がないような関係があったとしよう
そして例えば
一日中一緒にいたとして、しかし、一言も話さない関係は
今までずっと一緒でも、一度さえ会話のない関係は
はたして、幼馴染とよべるだろうか
一応呼べるのだろう
幼馴染は不思議と縁のある関係
これはあっている
しかし、縁があっても会話が無い
会話、対話が無いというのは、関係がないのと同義ではないだろうか
さらに、追い打ちをかけさせてもらうが、もしかしたら彼女と俺は知り合いですらないかもしれない
互いに相手を知っていることを知り合いと言う
つまり、俺が知っていても彼女は俺を知らないかもしれない
一緒にいる人間を知らない人間などいるのか?そう思うだろう、しかしいる
現に俺の幼馴染がそれに当たる
ようするに俺には、友人未満知り合い未満な幼馴染がいるということだ
知り合いですらない幼馴染
これには一つ理由がある
ここで一つの知識
「名は体を表す」と言う言葉をしっているだろうか
名前はその人の性格を表す、という意味だ
本当に過去の人は凄いと思う
彼女はまさにそれである
彼女の名前は無情感無(むじょうかんな)
一つの精神病をもつ少女
精神病
精神病というのは、つまり脳の病気
彼女にはそれがある
皆は、脳には感情をつかさどる部分がないのを知っているだろうか?
事実脳には思考する部分はあっても、喜怒哀楽を感じる部分はない
つまり、感情は一つの部分で出来てはいないということだ
感情というのは、脳のさまざまな器官が集まると、作られるものだ
要するに、脳ができれば自然と感情ができる
つまり、生まれた時点で感情をもっているのだ
しかし、彼女はそれがなかった
つまりは、感情がない
なにも感じず、情も無い
まさに無情感無、だ
しかし、別に脳がないわけじゃない
脳がなければ、感情どうこうの前に死んでいる
死ななくとも植物状態だ
いや、今の彼女も植物状態に近いのかもしれない
強いて言うのなら動く植物状態
脳はあるが感情は無い
脳は働いているが、感情が働いていない
病院では、感情がないわけではなく、感情が表に出ないだけだと、言われたらしいが
しかし、感情が表にでないのも、感情がないのも、見ている分には同じだし、本人だって何も感じないし、何とも思わない、そういう人間だ
だからこそと言うべきか、彼女には友人という友人はいない
友人になったら、なにかあるわけじゃない
利益を得られるわけじゃないし、彼女と一緒にいると、かなり孤立すると言うことを皆理解している
なぜなら、例があるから
彼女と一緒にいるから、という理由ではなく、己の意志によるものなのだが、俺は孤立している
そこで、だ
彼女の孤立までの道、というか元々孤立していたのだが……
彼女のその異様なまでの無感情による事件を紐解いていきたい
彼女が原因で起きた事件はたくさんある
例えば、『宿題やらない事件』や『先生の呼び出しに応じない事件』とか、広く浅く
しかし、大抵は不良生徒ならやるかもしれない程度のことだ
先程の二つも単純に宿題をやらなかったことと、先生の呼び出しを無視したこと
無視するのは俺の専売特許なのだが……名前的に
まぁいい、しかしだ、これらの事件は他生徒に迷惑を多大にかけるような事件では無い
二つとも、別に話題に上がるような事件でも無い
それは、他生徒もやっているようなことだからだ
宿題をやらないのも、先生を無視するのも、やっているやつはやっている
そんななか、一つ、生徒の中で有名なものを紹介しよう
これは先程も言ったことが関係しているが
彼女が、見た目は美少女といってもよいことだ
当然、美少女がいるということはだ、他の人間がやることがある
つまりは、告白である
男子なら、やはり可愛い彼女は欲しいだろう(俺は欲しくはないが……)だからこそ、無感情と知っていても告白する人間はいる
人数は少ないが確実に
ゲームなどでは、主人公幼馴染に告白するやつはいるだろうが、中には主人公がいることで、諦める人間(キャラ)もいるだろう
しかし、現実は甘くない
俺が彼女と一緒にいるのは周知の事実だ
しかし同時に、彼女が自分の意志で俺と一緒にいるわけじゃないのも周知の事実
俺の事は全く気にせず、普通に告白する
だが、問題はある
無いわけがない
それはそうだ、感情がない人間が告白される問題がないわけがない
最初の問題として、手紙を読まない
下駄箱にラブレターを入れたとしよう
彼女はそれを読まない
一緒に学校にいくので、下駄箱での様子はよくわかる
だからこそ言える
彼女はラブレターを読まない、というか手紙を読まない
下駄箱に入っていたとしても完全に無視だ
しかし、下駄箱に入れっぱなしにしておくのも悪い
なら、出した男子に届けてやれよ、と思うかもしれないが俺は違う
その時から俺の信念は定まっていた
ある一つの覆らない、覆ることのない信念だ
だから、俺はその手紙を入れっぱなしにした
ゴミ箱に捨ててやろうかと思ったが、それをやるとまるで俺が嫉妬しているようで嫌だった
まぁ、俺の事はいい、とりあえず以上の事からラブレタ―、手紙では駄目な事がわかっただろう
ならば、口頭で言うしかない
だからと休み時間の教室で彼女にこう言った男子生徒もいたと思う
「放課後、屋上に来てください」と
本当に勇気のある生徒だったと思う
彼もかなりの勇気を振り絞った感じであった
俺の当時のクラスメートたちも驚いていた
しかし、同時に尊敬の目線を向けるクラスメートもいた
それだけ、凄い行動だったわけだが……
それでも彼女は何の反応も示さなかった
そして、その日の放課後、俺と彼女は普通に帰った
驚きだ
今日は一人で帰る事になりそうだ
と、思っていながらも、ふと気になって後ろを向くと、彼女がいたのだから
元々彼女は自分のペースでしか動かない
そして、彼女のペースは崩れない
一貫とし、毎日同じように動く
それはまた、かなり異常なほど
休日も学校に行く時間になれば制服に着替え、学校に行く
まるで、そうプログラムされた機械のように
まるで、一つの動きしかできない機械のように
まるで、感情のなき金属で作られた機械のように
彼女には変化が無かった
いや、それよりも厄介だ
プログラムは二種類以上作れるし、変更もできる
機械だって時と場合でやる仕事を変える
金属だって感情はないが錆びることなど変化がある
しかし、彼女に変化はない
行動に、全く
だからこそ大変だった
この時はその勇気ある少年が被害にあった
次の日、あまりのショックにその少年は休んだ
次の日、普通の状態で彼女は登校した
これほどまでに彼女の感情は無い
しかし、彼女は時間に正確である
恐らく電波時計よりも正確に、一分一秒の誤差なく動く
そのルートも変わらない
しかし彼女も当然のことながらずっと動いているわけじゃない
人は休息を取らなければ生きていけない
異常であっても彼女は人間だった
動作を止める場所時間がある
その時間に告白しよう、と言う奴がいた
それは当時のクラス内でも最もイケメンであった男子(名前は憶えていないが……)
その不動の時間は俺もわかる
俺が知る限り、というか恐らくこれが全てだろうが
彼女が動きを止める時間は唯一つ
一つといっても、その一つだけでも充分である
彼女が動かない、と言う理由は一つだ
やることがないとき、これだけだ
というか、よく考えれば彼女が動いている方が珍しい
動いているのは、食事を摂取する時、学校への登下校、風呂に入る時、俺の家と彼女の家の往復
こんなものだろう、それ以外の時間彼女はかすかな動きすらしていない
学校の授業中も、休み時間も、食事が作られる時間も、また
しかし、クラスメートが知っている時間というのは、休み時間と授業中だ
それでも、クラスメートが見ているなか、告白するというのは、いくらなんでも難しい
なので、その男子は休日の学校で告白しようと考えた
普通に学校はやっていないので、クラスメートはいない
だが、彼女はいる、休日でも、全く動きを変えない彼女は
ここからは、噂なので多少違うかもしれない(休日について行ってみていた奴がいたらしい)
そこで、その男子は小説主人公負けしないセリフをいったそうだ
内容は
「確かにお前は無感情かもしれない、だったら俺がお前に感情を教えてやる」
と
いや、本当にかっこいい事をいうものである
これこそ主人公、しかも、顔もまたイケメンであったわけだ
しかし彼女は無視した
何の反応も示さず、完全な無視
だから、無視は俺の専売……
……もうこれはいいか
その時はさすがの優しいクラスメートも怒った
次の月曜日、彼女はクラスで質問攻めと言う名の尋問を受けていた
しかし彼女の無感情はそんなことで戻るようなものでなく、それさえも完全に無視した、という事件だ
いや、本当に異常者だ
それ以降クラスは更に彼女を避けるようになった
ついでに俺も避けるようになった
ついで感覚で避けないで欲しいものだ
まぁ、元々避けられていたというか、避けていたが
結局のところ彼女に告白し取り合ってもらった人間はいない、ということだ
それは、今も同じ
それどころか、話した人間すらいない
話かけるやつも少ないが……
いまので、わかっただろう
いかに彼女が異常かを
今でもそんな感じだ、何も変わらず、何も変化しない
変化があるとすれば、授業時間が長くなり、動かない時間が増えたぐらいである
数年でその程度の変化しかない
しかし、それはまた俺も同じ
同じように変化しない
しかし、これは異常ではない
彼女は異常であるが、変化がないのは別におかしくはないだろう(彼女は行きすぎているが……)
学校生活も、やることも、学生であるうちはそれほど変わらない
大きく見れば世界だって
たとえ彼女の異常を孕んでいようとも、世界はなにもないかのように回る
周り続けている
それは、異常ではない、正常だ
しかし、正常であるが、異常だ
俺も彼女も、異常であるのが正常で
俺も彼女も、正常であるのが異常だ
そんな人間がいても、なにも変わらない
世界に変化はない
なら、言わせてもらおう
変化がない世界で、変化を求めるほど無駄な事は無いと
変化がない世界で、希望を持つ事ほど無駄な事は無いと
俺も彼女も変わらない
これが現実
これが真実
しかし、それをどうとも思わない
なぜなら、俺にも彼女にも、そう思うものがないのだから
君ト僕ニハ感情ガ無イ
つまりはそういうことだ
二章――学校における「異常」度
俺の学校、冥宜原(みょうぎばら)高等学校(こうとうがっこう)にも行事はある
つまりは学校行事
しかし、多くの学校行事は秋から先にあるものだろう
少なくとも五月にあるものといったらゴールデンウィークがあるぐらいだ
もしくは、学校によっては修学旅行もあるかもしれない
俺の学校は修学旅行は九月なので、五月ではない
因みに学園祭は十月である
と、いうか、五月に行事は無い
しかし、夏には行事がある
ここは俺の学校のおかしいところかもしれない
ある行事というのは「体育祭」、だ
基本、体育祭のような、運動をする行事は秋、十月にあったりするものだ
しかし、俺の学校は夏にやる
つまりは、暑いわけだ
このことは生徒ないで不快な意見も多いが、同時に肯定的な意見も多い
単純に夏にやると、秋ではできない競技ができる
そんなものは一つしかない
水泳だ
球技は得意でないが、水泳なら得意という生徒もいれば
単純にプールに入りたい生徒もいる
しかも、俺の高校のプールはかなり豪華だ
外であるが、校庭を一望できる位置にある
つまり、水泳の競技の生徒はプールに入りながらの応援ができるわけだ
そういったことで、今年も夏にやるらしい
つまり一学期
一学期にやる、ということは五月中にはやっておきたいことはある
つまりは競技決め
俺のクラスは現在、一時間目にあった国語で、先生に
「競技決めをしたいんですけど」と言ったところ、あっさりと了承されたので、競技決めをしている
「まずは何から決めていくべきだと思うー?」
クラスの学級委員、体育委員が仕切り、競技を決めていく
俺も彼女も、どこかの競技をやらなくてはいけない
しかし、発言はしない、否、出来ない
そんな中
「俺、百m走やりてぇかな」「お前、簡単そうだからって選ぶなよ」「おーい、簡単そうなの、とかいうなよ、俺も百mなんだから……」「え、私は断然二十五メートルクロール!」
「うわっ一番楽なのじゃねぇか」「俺は騎馬戦だな」「すげぇ、男前すぎるだろお前」「あれに自分から志願するのかよ」
と、かなり盛り上がっている
俺はいったいどうなるか
こういう場合、待っているしかない
諦めて待つ
「これで全員決まったか?」
……忘れられているのか?
「あ~うん、そうだな、全員決まってる」
なんか、ちらちら見られながら言われた
いや、お前俺と彼女の存在憶えてる癖に無視するのか?
だから、無視は俺の専売特許で……
「あれ?なんかスル―してね?」
気付いたやつがいた
いや、俺と彼女の存在に気付いていないやつがいた
「え?そう?」「あーなんか俺もそんな感じが……」「いや、忘れてないって」「いやでも、なんか忘れてる……」
全く気付いてない
普段は目立つが、こういう空気になると、とたんに目立たなくなるな
「いや、でもさ、もし居たら私たち最悪じゃない?」
その通り、つまりお前ら最悪だ
いや、俺的には全然最悪じゃないけど、むしろ最良だけど
「それって、俺たちが誰かを無視してるってことか?」
あ、それを言ったら気付くだろ
「無視……無視……」
「どうしたんだよ」
「いや、無視ってなんか関係があるような……」
それだよ、俺の専売特許
と言いつつも俺は寝た振りをしているんだが
「無視?なんかあったか?」
「んー漢字で書いてみる?」
「いいんじゃね?黒板に書いてみろよ」
カリカリと音がした
本当に書いているらしい
「無に、視る……」
その時
「あ……」
「?どうした?」
気付いたらしい
しかし、気付いていない人間もいるようだ
そして、コンコンと音が鳴る
恐らく黒板に書いた「無視」と言う字を示すために黒板をたたいているのだろ
これで気付かなかったら俺のクラスはかなり薄情だ
しかしついに
「あ……」
気付いた
それは一人では無いらしく、クラスメートたちも次々に声を上げる
そして、全員で叫ぶ
その内容は……
「一水(ひとみず)無視(むし)!」
俺の名前だった
そしてかなり気まずそうな雰囲気になる
しかし一番気まずいのは俺だ
忘れられた俺だよ
「……どうするよ?」「話し合いに参加すると思うか?」「というか、無情もだよな……」「話し合いに参加するわけない……今も寝てるし……」
勝手に決めるな
俺は寝てない、寝ているふりをしているだけだ
まぁ、起きていたとしても参加しないが
「そりゃそうだよな、なんてったって『無干渉』に『無感情』だもんな」「そうそう、参加なんてもってのほかだって」
憶測が飛び交う
そして
「競技はどうするんだ?」
この質問
俺はなんでもかまわない、目立たなければ
「……どうする?」
ここで、競技として余っている長距離などでも俺は良かった
むしろ、長距離だと、ずっと見続けてるやつも少ないだろうという印象があるため好都合だ
しかし、ここで気付いてしまった
気付いてほしくなかったことに
しかし、この方法はあながち間違いではない
皆も、一度はやる
それは恐らく人間相手にも、物を相手にしたとしても、変わらない
これを人間あいてにしない人間は、聖人としてあがめられてもいいくらいだ
つまりは、差別
つまりは、区別
そして、その先に待つのは
分別だ
つまり、ゴミはゴミ箱に、ということだ
扱いにくい人間は一か所にかためる
こういうことだ
「この二人を一つの競技にまとめればいいんだよ」
こう言った
ここまでならいい
長距離は男女別だし、男女混合で行う混合リレーなども、基本的には一人で走り、次の人にバトンを渡すという個人種目を、集団で一人ずつこなしていく競技だ
究極的に一緒にやっているとは言えない
かといって、集団である球技は、体育祭でやるには時間がかかりすぎるし、場所をとる
一学年がやるぶんには良いかもしれないが全学年が同時に、となると厳しい
つまり必然、集団の競技となると、騎馬戦、棒倒し等になる
しかし、それらの競技もまた、男女別
さらに人数も多い
そう、二人だけ隔離できるような競技はない
競技は……ない、はずである
「……つまりさ、お前が言いたいのは、この二人をここに入れるってことか?」
……あるのか?
そんな競技が
……競技になにがあっただろう
競技リストはもう配られている
一つずついこう
まず、体育でやりそうなものから
百m走、二百m走、男女長距離、走り幅跳び、クラスごとのリレー、選抜リレー、男女混合リレー、プール種目で、二十五mと五十mクロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライがそれぞれ、そして、リレーがある
ふむ、ここまでは特にないか
あとはお祭り的な競技である
騎馬戦とか、棒倒しとか
あとは……ん?
まさか……いや、それはない
この競技は人気が絶対に高い、もうやりたい人が多く出ているだろう
「そう、この二人の競技は……」
……
「――二人三脚だ」
最悪の答えだった
二人三脚
誰もがやったことはなくとも、誰もが知っているだろう
お互いの片足をひもで縛り、そのまま走りゴールを目指す競技である
体育ではやることはない、おおよそ、やるとしても、こう言った祭りごとで、だ
いや、俺もやりたくないわけじゃない
やれと言われたらやるし、一応頑張るつもりだ
だけど、パートナーがあれである
恐らく彼女は動かない
まったく動かず、俺たちは最下位になるだろう
これはもう、予想というより予言だ
宣言といってもいい
それだけ、彼女はなにもしないと思う
俺の経験上そうだ
中学のころは百mに配置されていたが、結局彼女は、外にすら出ず、制服姿でずっと教室にいた
最終的に、俺が呼びに行くことになったが結局呼び戻せなかった
あのときは、なぜか俺が責められた
俺のせいではないというのに
しかし、二人三脚
幼馴染だから息ぴったり、と言うことは無いわけだし……
そう言えば、さっきから俺は彼女が動かないだのなんだのと言ってはいるが、多分俺も動かない
元々、こういう他人と関わり合いのある、それも、かなり深い関わりのある競技には出たくなかった
俺は、人と関わらない事を心情にし、理想とし、志として生きてきた、それをいまさら曲げろと言われても無理な話だ
それにおいては彼女がパートナーで良かったかもしれない
彼女は俺が関わらないように……干渉しないようにするまでもなく、干渉されない
楽ではある
楽しくは無いが……
はぁ
正直面倒くさい
何で俺がわざわざ……と思ったりするがまぁいいだろう
「体育祭か……」
そう呟いた瞬間、ふと声が聞こえた
廊下からか……
クラスメートだったかもしれないが、憶えてはいない
その声に思うことがあるとするなら……
「随分と声がでかいな」
これぐらいのものである
「そういえばさーあの噂知ってる?」
「え?あぁ、あの隣のクラスのやつでしょ?」
「そうそう!休み時間気になって見に行ってきたんだよね!」
……隣のクラスに何かあったのか?
言っておくが俺は盗み聞きをしているわけじゃない
偶々聞こえてきた声を聞いているだけだ
「どうだった?」
「凄かったよ!いや、凄くなかったのか……とにかく普通だった!」
「噂どおりに?」
「噂以上に!」
……なんの話をしているんだか
「凄い無個性だった!最初にさ、『隣のクラスにすげぇ無個性なやつがいる』って聞いた時は嘘だと思ったんだけどさー」
「実際見てみると結構マジだったと」
「そう!まさに無個性!逆にあそこまで行くと個性だよ」
「じゃあ、個性あるんだ」
「そう、個性がないというね!」
……そんな奴がいるのか?
まぁ、だからといってその『無個性』が『無感情』よりも目立っているとは思えないな
いまさら噂が立っているところとか……いや、それはそれで異常か
そこまで、無個性でありながら、ここまでそれを隠し通せたこととか
まあ、俺や彼女は隠すつもりなどなかったため、登校二日目にして、全生徒に知られたわけだけど……
にしても、『無個性』……ね
なんか俺や彼女と同じ感じがするな
俺や彼女の『特性』は個性だが
『無感情』と『無個性』
似て非なるもの、と言うべきかもしれない
『特性』を持つ者、持たぬ者
結局二人とも何かが欠けている
『特性』、つまりは『特異性』だが……それを持とうが持たなかろうが、度が過ぎればそれは異常
彼女は感情を持たな過ぎた
隣のクラスの生徒さんは、個性がなさ過ぎる
しかし、結局のところ欠けているのはそんな細かいところではない
これは俺にも当てはまる事なのだが
つまるところ、俺と彼女と『無個性』に欠けているのは唯一つだ
それは、人間性である
俺も彼女も『無個性』も、人間から離れすぎたということだ
最終更新:2012年04月06日 12:54