「寝起き」

……おはよう
現在時刻七時である
なかなかに健康な起床時間、下の階からは朝食の良いにおい
たぶん俺の幼馴染だろう
ここでちょっとした説明
俺の朝食昼食夕食とすべて俺の幼馴染が作っています
もしかして俺ってヒモなんじゃね?と思うが気にしない
本当に出来た幼馴染である
……性格以外は、な
「ふぁ」
とあくびをした時
「あ、起きてたの?」
幼馴染の声
「ん?今起きたとこ」
正直に答える
なんか、普通の幼馴染か兄妹みたいだな
ここまでだったらそんな感じ
だけど、そこまで俺の幼馴染は甘くない
「そう、残念」
「なにがだよ」
「寝てたんなら起こしてあげようと思って」
「へぇ」
優しい言葉
だが問題は……
「何で起こそうとしてたんだ?」
「え?それはもちろん……」
手を振る
その手は何かを握っていた
「これでだけど?」
そこに握られていたのは、おこすのに使うであろう……
バタフライナ……
「お前起こすつもりないだろ!?」
「はぁ?」
えっなに?俺が悪いの?
なんか、「これだからこいつは……」みたいな目で見られてるんだけど
「これだからゴミ……こいつは……」
「今の言い間違いか!?そうだよな!?」
「えっ……そうそう、つい本音が……」
「本音って言っちゃったよ!本音なのかよ!」
軽く傷つく……軽くな
簡単に言うならこいつは……Sだ、どSだ
俺をいじめて楽しむ種類の
というか、俺以外いじめないし
因みに幼馴染の名前は桐ケ谷凛です
凛って名前だけど全然凛としていないです、はい
「なにか失礼な事を考えてる?」
「いや別に」
「そうよね、裕二にそんな事考える頭なんてないものね」
「ひでぇな!俺の頭脳!」
と、ここで自己紹介
俺の名前は市ヶ谷裕二です!
苗字が凛に似ているとか、そんなこたぁ関係ない!
「はぁ、さっさと朝飯食べようぜ」
俺が階段を降りようとすると……
「はぁ、朝から裕二と話すなんて……無駄な時間を過ごした……」
……いつものことなのでスル―
一回一回反応してるとこっちが疲れてくるし……
「まつ毛の本数を数える作業よりも時間の無駄だった」
「そこまでか!そして、まゆ毛の本数ってどうやって数えるの!?」
「えっ?鏡で」
「めんどくさっ」
これが俺たちのいつもの朝です
いや、もうほんとに、可愛くねぇ

「朝食」

「で、今日の朝飯はなんなんだ?」
匂いではちょっとわからない
「……あなたにそんな事を聞く権利があるとでも?」
「ないのか!?俺には朝飯を確認する権利も無いのか!?」
すると、ふぅとため息をつく
「……なんだよ」
「あなた、朝食のことを朝飯というのね。まぁ、馬鹿にはお似合いね」
「それくらいいいだろ!」
ほんとそんなことはどうだっていい
「で、リビングについたわけだが」
「誰に話しているの?」
「いやなんでも」
「気持ちわるっ」
「正直な事でなによりだよ!!」
……今日の朝め……朝食は極めてオーソドックスといっていい
ご飯、味噌汁、焼き魚だ。そして飲み物に麦茶
「随分と和風な」
「……あなた和風の意味わかってる?」
「わかってるよ!」
「まぁ確かに私の朝食は和風ね」
わざわざ私の、と強調して言った
「……まさかアレ全部お前が?」
食べるのか?というのは言わなかった
「そんなわけないじゃない」
だよな、そんなわけない
「だって裕二のあれは和食じゃないもの」
「え?いや、どう見ても和食だろ?」
「……まぁ、そうね。一応魚だし……」
「は?」
普通の米にしかみえないし、普通のみそ汁だろ?
ちょっと米を食べてみた
「……普通だな」
「へー、普通なんだ。味」
「え?普通の米だろ?これ?」
「……そうね、米は普通ね」
なにがなんだか?
とりあえずみそ汁を飲んでみた
「あ……それはみそ汁じゃなくて……」
「え?」
次の瞬間……
「ぐはっ!ごほっ!がはっ!……なんだこれ!?」
みそ汁をはいていた
いや、もうこれみそ汁じゃ……
「トウガラシ汁……ってもう遅いか……」
「お前……」
「ん?何かしら?」
「殺す気かーーッ!いや、マジで死にかけたぞ!」
「あぁ、ごめんごめん」
「……はぁ」
なんと言うか、いつもの事過ぎてもう耐性ができているというか……
もしかして俺ってドM……?
「……死ねばよかったのに」
「おい」
「えっ?な、なにかしら?」
「わざとらしく驚くな、今お前なんて言ったよ」
「裕二なんて内臓ぶちまけて死ねばいいのに」
「ひでぇ!」
「さて、早く食べて学校へ行きましょう?」
「へいへい」
いつもいじめられてはいるけれど別に嫌いではないというか……
「はい、水。まだひりひりするなら氷でも用意するけど?」
「……いや大丈夫だよ」
こういうところとか、ちょっと可愛いというか……
さっさと食べて学校に……
「その魚はちゃんと骨とはらわた以外とっておいたわよ?」
「ぶはっ!げほっ……まずっ!むしろはらわたしかねぇけど!?これ!?」
「まぁ、別の魚のも詰め込んだし」
「詰め込んだのかよ!」
「さ、早く学校にいくよー」
……前言撤回
マジで可愛くねぇよ、この幼馴染……

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最終更新:2012年05月04日 20:08