前書き

ヾ( ゚д゚)ノ゛ モウ一本ウpシテミルヨ シナチクー


「奇病」が発生して八ヶ月が経った。
もはや日本は明らかに壊滅状態だ。
政府が初期のうちに手を打っていればこんなことにはならなかった。
だが、動いている以上それが「死体」などという認識をお偉いさん方が持ち、
「処理」を命ずることなどある訳もなく、あれよあれよという間に「暴徒」は増
加の一途を辿り、ようやく「お上」が俺たち自衛官の出動、兵器の使用を認
めた頃には既に取り返しのつかない状況になっていた。
その頃には誰も「奇病」だの「暴徒」だのという言葉は使わなくなっていた。
皆は呼んだ。。。「ゾンビ」と

今日もまた俺はヘリに乗る。
どこにいるかもわからない篭城している市民を探し出し、救出するために。。。。
「捜索・救助」それが俺たちに与えられた任務だから。

眼下には廃墟と化した街並みが広がるばかり。
この光景に完全に慣れてしまった自分が嫌になる。

「いつまでこんなこと続けんのかな・・・」
隣に座っていた高田がぼそりと呟いた。
俺は聞かなかったふりをした。が、後ろに座っていた新垣にも聞こえていたらしく
「ずっとだろ、上から中止の命令があるまでな!」
と、いまいましげに吐き捨てた。
「だってよ、ばかばかしいじゃないか」
「仕方ねぇだろ、俺たち駒は命令に従うだけなんだよ!」
新垣は高田の言葉にかなりイラついている様子だった。
「それに・・・助けたっていいこと無いし・・・」
高田の言いたいことは俺にもわかる。
捜索に出るたびに燃料はどんどん減っていく。
時にはゾンビと交戦することもあり、貴重な弾薬、それだけならまだしも人員まで
が減ることもあった。
さらに、救助後もまた問題が起きることが多かった。
助かりたいがためにゾンビから受けた傷を隠したまま救助を受ける者もいたから
だ。
そのため基地に帰ってから発症、基地内部でゾンビ騒動が起きて犠牲者が出る
こともあった。
燃料も、弾薬も、人員も、そして士気も、すべてが減る一方だった。
さらに、収容する避難民が増えるにつれ、基地の食料は加速度的に減少して
いる。
食いぶちが増えるのだ、それは当然のことだった。
もはや、あらゆる面で限界に来ていた。

「あ~あ、せめて助けたネェちゃん達がヤらせてくれたらなぁ」
「なんだ高田、お前、それが本音だろ?」
新垣がニヤニヤしながら言った。
「だって、こっちは命がけなんだぜ。それぐらいあって欲しいよなぁ」
「おい、神崎、このバカになんとか言ってやれ」
新垣が俺にふってきた。
「そうだな・・・」
俺は気の無い返事をするだけだった。

前方にホームセンターが見えた。
屋上からは一筋の煙があがっていた。
生存者の信号らしい。
どうやら今日もまた忙しくなりそうだ。


俺たちは「救助」を続ける。
だが、最近ふと思う。
『誰かが俺たちを「救助」してくれる日は来るのだろうか。。。』



::::完:::::


後書き

ヾ( ゚д゚)ノ゛ 誰カ書イテヨ シナチクー


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最終更新:2011年06月03日 19:52