「コンクリート製の建物に住んでて良かった。」
心底そう思ったのは初めてだった。
5階建ての建物の2階に住んでいるのは今や宮部、東野、杉山、
の男ばかりの共同生活者たちとうめき声を上げる腐った異常者達だけだった。

「そろそろ出ないとやばいんじゃないか?。」
東野が言った。
確かにここに篭城して既に1週間あまりが経過し、
食糧も尽きかけ、外部からの情報も途絶えていた。
何より暇だった。
「そうだな。しかし・・・。」
そう、問題は武器だ。
理想は金属バットだったが野球をたしなむ者が居ないのでもちろん無い。
あるのは防犯用の木刀と宮部君が椅子を作ると言い出して買ってきた角材と金槌だけだ。
宮部君は飽きっぽいので角材はそのまま残っていた。
(はたしてこれで戦えるかな?)
「おい、これなんて使えるんじゃないか?」
東野は台所から持ってきたフライパンを片手にニコニコしていた。

「でも、ここから出てどこへ行くんだ?」
「そりゃぁ・・・。」
「ここから近くて、尚且つ篭城ができる場所といったら・・・うーん。」
「おっ!」
「どうした?」
「なんかありました?」
「ホームセンターがあるじゃないか!」
「ふむ、なるほど。」
「あそこなら武器も山ほどあるし、大きい建物だから人も集まっているだろうよ。」
「いいですね。」
「そうだな。」
「決定だな。」
「ここからホームセンターまでは、えーと、まず通りを抜けて坂をのぼって・・・。」
「考えても仕しょうが無い。行くぞ!」
勢い付いた三人は各自武器を持つとすぐさまバリケードをどけてドアを開け、
外に飛び出した。
「臭っ!!」
外は腐臭で息もできないほどだったが一番の脅威は臭いより臭いのもとだということは
みな承知していた。
「来たぞ。5人くらいかな。」
「このやろっくらえ!」
ぐちゃぁブシュげちょげちょ
木刀で胴を払ってみたもののとても悲惨な状態に。杉山は一瞬怯んだ。


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2011年11月04日 15:57