・[[ゼウス]]と[[マイア]]の子。 ・キュレネの洞窟で生まれ、最初の襁褓で巻かれて箕の上に置かれていたが、抜け出してピエリアに赴き、 [[アポロン]]が飼っていた牝牛を盗んだという。発覚しないように牝牛の足に靴を履かせて足跡を消し、 ピュロスに連れ出して牛のうち二頭を犠牲に捧げ、のちに皮を岩に釘付けにし、 肉は一部は煮て、一部は焼いて食ってしまったとする。のちにキュレネに帰り、そこで亀を見つけて この亀の甲羅を綺麗に清め、牝牛から取ったガットを甲に張って[[竪琴]]を発明、さらに撥を発明したという。 アポロンが牛を求めてキュレネに来て責めたが、竪琴の音色を聴いて、これと残りの牛との交換に応じたとか。 (zsphereコメント:ホメロスその他、様々な文献でヘルメスを盗みの神とする記述があるが、納得せざるを得ない逸話であるw) ・『ホメロス風讃歌』所収「ヘルメス讃歌」によれば、 火と火おこし棒を発明したのもヘルメスであるとしている。 なお同書では、ヘルメスはアポロンの牛を焼いて煙を犠牲に捧げているが、肉は食っていない。 ・「アルゴス殺しのヘルメス」という呼称が諸書に散見される。 これは[[ヘラ]]の命令で[[イオ]]を見張っていた[[普見者のアルゴス]]をヘルメスが打ち倒した事から ついた名であると見られる。ただし、この呼称の原語「アルゲイポンテース」の一般的な解釈ではあるが、 この語の正確な語源と意味は必ずしも詳らかではない。 ・『ホメロス風讃歌』所収「デメテル讃歌」で、[[ゼウス]]が[[デメテル]]の怒りを鎮めるために [[ハデス]]に[[ペルセポネ]]を母神に会わせるよう提案するが、その際に伝令役に立てられたのがヘルメス。 ・なお、『イソップ寓話集』にある金の卵を産む[[ガチョウ]]の話 (神様から金の卵を産むガチョウを授かった男が、卵が産まれるのを待ちきれず、腹の中を探ろうとガチョウを殺してしまった話) で、このガチョウを授けたのはヘルメスとなっている。 ・同様に、「金の斧 銀の斧」も『イソップ寓話集』原典ではヘルメスが斧を授ける役。 ・また、家々の戸口に「ヘルメス柱像」というものを立てる文化習俗のあった事が知られている。 これは四角い石柱の上部に鬚を生やしたヘルメスの頭部を彫り、中ほどに陽根を彫ったものだとか。 →[[ヘルメー]] 参考文献 『ギリシア神話』アポロドーロス 『イソップ寓話集』 『四つのギリシャ神話』 #amazon(4003211014, image, text) #amazon(400321031X, image, text) #amazon(4003210263,image,text)