- キュレネの洞窟で生まれ、最初の襁褓で巻かれて箕の上に置かれていたが、抜け出してピエリアに赴き、
アポロンが飼っていた牝牛を盗んだという。発覚しないように牝牛の足に靴を履かせて足跡を消し、
ピュロスに連れ出して牛のうち二頭を犠牲に捧げ、のちに皮を岩に釘付けにし、
肉は一部は煮て、一部は焼いて食ってしまったとする。のちにキュレネに帰り、そこで亀を見つけて
この亀の甲羅を綺麗に清め、牝牛から取ったガットを甲に張って
竪琴を発明、さらに撥を発明したという。
アポロンが牛を求めてキュレネに来て責めたが、竪琴の音色を聴いて、これと残りの牛との交換に応じたとか。
(zsphereコメント:
ホメロスその他、様々な文献でヘルメスを盗みの神とする記述があるが、納得せざるを得ない逸話であるw)
火と火おこし棒を発明したのもヘルメスであるとしている。
なお同書では、ヘルメスはアポロンの牛を焼いて煙を犠牲に捧げているが、肉は食っていない。
- 「アルゴス殺しのヘルメス」という呼称が諸書に散見される。
これは
ヘラの命令で
イオを見張っていた
普見者のアルゴスをヘルメスが打ち倒した事から
ついた名であると見られる。ただし、この呼称の原語「アルゲイポンテース」の一般的な解釈ではあるが、
この語の正確な語源と意味は必ずしも詳らかではない。
ハデスに
ペルセポネを母神に会わせるよう提案するが、その際に伝令役に立てられたのがヘルメス。
同書「ヘルメス讃歌」には、
ハデスへの正式の伝令を務めるのはヘルメスのみである旨の記述が存在する。
- なお、『イソップ寓話集』にある金の卵を産むガチョウの話
(神様から金の卵を産むガチョウを授かった男が、卵が産まれるのを待ちきれず、腹の中を探ろうとガチョウを殺してしまった話)
で、このガチョウを授けたのはヘルメスとなっている。
- 同様に、「金の斧 銀の斧」も『イソップ寓話集』原典ではヘルメスが斧を授ける役。
- また、家々の戸口に「ヘルメス柱像」というものを立てる文化習俗のあった事が知られている。
これは四角い石柱の上部に鬚を生やしたヘルメスの頭部を彫り、中ほどに陽根を彫ったものだとか。
→
ヘルメー
参考文献
『ギリシア神話』アポロドーロス
『イソップ寓話集』
『四つの
ギリシャ神話』
最終更新:2015年11月07日 02:13