和泉式部(歌)

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・もとよりも 塵にまじはる神なれば    月の障りも 何か苦しき (熊野参詣を月の障りで拒否された際の歌) ・  花のいとおもしろきを見て  あぢきなく 春は命の惜しきかな 花ぞこの世のほだしなりける ・はかなしとまさしく見つる夢の世を おどろかで寝る我は人かは ・  人に、「世のはかなき事を」などいひて  いかにせんいかにかすべき世の中を 背けば悲し住めば住みうし ・   恋  つれづれと空ぞ見らるる思ふ人 天降り来ん物ならなくに  黒髪の乱れも知らずうち臥せば まづかきやりし人ぞ恋しき  君恋ふる心はちぢにくだくれど ひとつも失せぬ物にぞありける ・   男に忘られて侍りける頃、貴ぶねにまゐりて     みたらし川に螢のとび侍りけるを見て詠める  物思へば沢の螢も我身より あくがれ出づる玉かとぞみる     御かへし  奥山にたぎりて落つる滝つ瀬の 玉ちるばかり物な思ひそ     此の歌はきぶねの明神の御返しなり。男の声にて和泉     式部が耳に聞えけるとなむいひつたへたる。                   (この部分は『後拾遺集』神祇の歌の部に収載)  
・  花のいとおもしろきを見て  あぢきなく 春は命の惜しきかな 花ぞこの世のほだしなりける ・はかなしとまさしく見つる夢の世を おどろかで寝る我は人かは ・  人に、「世のはかなき事を」などいひて  いかにせんいかにかすべき世の中を 背けば悲し住めば住みうし ・   恋  つれづれと空ぞ見らるる思ふ人 天降り来ん物ならなくに  黒髪の乱れも知らずうち臥せば まづかきやりし人ぞ恋しき  君恋ふる心はちぢにくだくれど ひとつも失せぬ物にぞありける ・   男に忘られて侍りける頃、貴ぶねにまゐりて     みたらし川に螢のとび侍りけるを見て詠める  物思へば沢の螢も我身より あくがれ出づる玉かとぞみる     御かへし  奥山にたぎりて落つる滝つ瀬の 玉ちるばかり物な思ひそ     此の歌はきぶねの明神の御返しなり。男の声にて和泉     式部が耳に聞えけるとなむいひつたへたる。                   (この部分は『後拾遺集』神祇の歌の部に収載)  

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