- 古来、蟻通明神の逸話で著名。この説話は二部構成になっており、
前半は、旅の途中で通りかかった
紀貫之がこの地に来た辺りで日暮れになり、
さらに馬が衰弱して動けなくなった。これが蟻通明神のなせる業であるというので、
「かき曇りあやめも知らぬ大空にありとほしをば思ふべしやは」と詠むと馬が間もなく回復したとか
- 後半は蟻通の名の由来譚となっており、むかし帝が四十歳以上の老齢の者は殺してしまっていたが、
中将が老齢の両親を密かに隠していた。一方、唐土の帝より難題が送ってくるのを、その老齢の両親の知恵と経験で
乗り切るという筋で、その難題の最後が「複雑に曲がった玉の穴に糸を通すにはどうするか」であって、
これに対して「蟻の腰に糸を巻いて穴の中を通せばよい」とした事から「蟻通」となったという。
- この後半の説話は、同様の話が『雑法蔵経』巻一第四にある事が知られている。
参考文献
『日本伝奇伝説大事典』
最終更新:2014年01月20日 04:44