- ギリシャでは、およそ太陽暦の11月半ば頃に、冬を越すため鶴がエジプトへと渡り始める。
これが農作業の時期を知る契機とされていたらしく、
ヘシオドス『仕事と日』に
「年々に空高く雲の中から鳴く鶴の
声を聞いたならば心せよ、
これは畑を耕す時期と、雨多き冬の到来を知らす合図じゃ」
とある。
- アリストテレス『動物誌』に、ツルは移動する鳥の中でも特に最果ての地からやってくるとして、
スキュティア(スキタイ)の平野から
ナイル川の水源地まで移動する、と記述している。
さらに、このナイル川水源の地で、ピュグマイオイと呼ばれる小人族を攻撃する、という。
(同様の記述は、ヘロドトス『歴史』やプリニウスにも見られる)
- また、古代ギリシャには、ツルは体内に「底荷の石(重心の安定のために船底に入れる重石のこと)」を持ち、
この石を吐き出すと試金石となる、という巷説があったらしく、
アリストテレスはこれを紹介しつつ「事実ではない」としている。
アリストパネスの喜劇にも、この伝承を前提にしたシーンがあるとか。
参考文献
『仕事と日』ヘシオドス
『動物誌(下)』アリストテレス
最終更新:2015年07月01日 04:48