三停には上停、中停、下停があり、
上停→頭の髪の生え際から両眉の高さまで。貴賤を相する所で天才という。
中停→眉から鼻端の高さまで。寿天を相する所で人才という。
下停→人中から顎まで。貧富を相する所で地才という。
そして、この三つの停の上品が備わっていることを龍の相と呼ぶ。
また九似とは、龍に備わった特徴で
頭が駝(らくだ)、角が鹿、眼が鬼、頂が蛇、腹が蜃(みずち)、
鱗が魚、爪が鷹、掌が虎、耳が牛にそれぞれ似ている事。
すなわち、動物の中の雄たるものの特徴を備えている、あらゆる動物の長である事を表わす。
(眼は兎、鱗は鯉としている文献もある)
- なお、中国・日本の龍はあごの下に逆鱗、咽喉の下に明珠(光る玉)を持っているとする。
(『図説日本未確認生物事典』笹間良彦)
- 紀元前三世紀成立の『韓非子』巻十二「説難」が、龍の逆鱗についての文献初出。
→「龍は水から生まれた。五色を被って游いでいる。だから神なのだ。
小さくなろうと思えば、蚕や蠋(けむし)のようなものに化けることができるし、
大きくなろうと思えば天下をすっぽり覆い隠すこともできる。
上ろうと思えば、雲気をも凌ぎ、下ろうと思えば、深泉にまで入る。
いつなんどきでも、変化や上下は自在だ。」
- 許慎『説文解字』「龍」字解説(紀元後100年成立)
→「龍は鱗虫の長である。姿を消したり見せたりすることができ、
細(ちい)さくなったり巨きくなったりすることができ、
また短くなったり長くなったりすることができる。
春分になると天に昇り、秋分になると淵に潜る。」
飛龍、応龍、蛟龍、先龍がそれぞれ
鳥類、獣類、魚類、甲殻類の祖であると述べている。
- 一方、龍の分類については、『本草綱目』引『述異記』逸文に、
「鱗のあるものを蛟龍といい、翼のあるものを応龍といい、
角のあるものを虬龍(きゅうりゅう)といい、角のないものを螭龍(ちりゅう)という」とある。
(『中国の妖怪』中野美代子)
その正殿「太和殿」には計一万三千以上の龍の装飾が施されているという。
その顔は「龍顔」、衣服は「龍袍」、歩みは「龍行」、
統治下に施される恩は「龍恩」という。
(『龍伝説』林義勝・西村康彦)
最終更新:2011年08月10日 11:10