- 龍王は、龍族のなかの長という意味ではなく、特定の領地に封ぜられた王としての龍という意味。
龍 →天地の間を自由に往来する聖なるもの
龍王→地上のある特定の地域(主に水)を支配する
- 漢代までの古文献には、「龍」の字は見えても「龍王」の字は見えない。
- 中野美代子氏によれば、龍王という概念が入ってきたのは、漢訳仏典の成立後ではないかという
三世紀末の康僧会『旧雑譬喩経(くぞうひゆきょう)』では、
「ナーガ」は「龍」と訳されている。
龍王という語が定着したのは、4~5世紀に鳩摩羅什『妙法蓮華経』「序品」にある
難陀、跋難陀(ウバナンダ)、婆伽羅(サーガラ)、和脩吉(ヴァースキ)、
徳叉迦(タクシャカ)、阿那婆達多(アナヴァタブタ)、摩那斯(マナスヴィン)、優鉢羅(ウトパラカ)の
八龍王の名前からであろうとのこと。
- 中国の農村では、つい最近まで、村の川や池、井戸などに主として龍王が住み着いているという伝承があった。
その多くは降雨の少ない土地で、そういった場所では龍王廟をまつり、
「龍王爺(ロンワンイエ)」と親しみを込めた敬称で呼んでいたという。
(以上、『西遊記の秘密』中野美代子)
最終更新:2011年08月07日 10:38