アピス


  • ヘロドトス『歴史』巻三によれば、別名をエパポスといい、一度出産した後は再び受胎することが出来ぬ牝牛から生まれた
    子牛のこと。天上から光がこの牝牛に降り、その光によって受胎してアピスを生むのだという。
    外見の特徴としては、黒牛で、眉間に四角の白い斑点があり、背には鷲の形をした模様があって、
    尾は毛が二重に生え、舌の裏に甲虫のような形をしたものがついているのだ、という。

  • ヘロドトスは続いて、ペルシア王カンビュセスが実体のある動物を神格として祀っていることを嘲笑し、
    これを直接刀で傷つけて殺してしまったという逸話が載る。


  • プリニウス『博物誌』第八巻にもまとまった記述がある。
   それによれば、アピスの目印は右の横腹にある三日月形の明るい白斑であり、また
   舌の下には、人々がカブトムシと呼ぶ瘤があるという。
   一定年齢を超えるとアピスとしての資格を失い、人々は悲嘆しながらこの牛を僧侶の泉で溺死させ、
   別の牛を探すという。後継ぎが見つかると100名の僧侶によってメンフィスに送られる。
   メンフィスには二つの神殿があり、アピスがそのうちの一つに入るなら吉兆、もう一つに入ると恐ろしい予言をするという。
   (年一回、雌牛と番わせられるとあるので、おそらく雄のウシだけがアピスに該当する様子)


      参考文献

『歴史(上)』ヘロドトス
『プリニウスの博物誌 Ⅱ』



最終更新:2016年04月10日 02:54