- 私の今住む村に近い世田ヶ谷の太子堂にもあったように、かつては十二人の悪い女に憎まれて、艱難辛苦をしたという一人の善き女の話は、神子誕生の物語の極めて普通の形であったと思うのに、十二人はあまりに多いとこれを三人ばかりに削減した例は多い。あるいは八人の兄弟があって末の子のただ一人が、名をあげ富を積んだという話があると、それも三人あれば趣意だけは徹底するからといって、現在ある話は三人になっている。
(柳田国男「はてなし話」)
(zsphereコメント:いわゆる昔話の基本形としての「三回化」についての、興味ある証言)
最終更新:2016年08月09日 14:49