プラタナス(引用)

   →プラタナス



 夏の盛りの真昼どき、旅人たちは炎暑にぐったりしていたが、プラタナスを見つけたので、その下にもぐり込み、木陰に横になってひと息入れていた。そしてプラタナスを見上げつつ、
「この木は人間にとって何と役立たずなんだ、実もつけないし」と言い合った。するとプラタナスが遮って言うには、
「恩知らずどもめ、私の恩恵にあずかっている今でさえ、私を実なしの無用者と呼ぶのか」
 このように人間の場合でも、隣人に親切を施しているのにその善さを信じてもらえないほど不運な人がいるものだ。
                                         『イソップ寓話集』



ただ木陰を得たいばかりに、ある木が他地方からもたらされたと聞いて驚いたとしても無理からぬことではあるまいか。この木はプラタナスの木で、それは初めてイオニア海のサン・ドメニコ島にまで輸入されて、ディオメデスの墓の上に植えられたのであるが、それがそこからシチリアに渡り、イタリアに初めて与えられた木のひとつであった。
                                      プリニウス『博物誌』第12巻
最終更新:2016年09月27日 23:45