ホタル(引用)

自然はすでに際立った一群のすばる星を空につくった。しかし自然はそれで満足せず地上に他の星をつくった。それは声高にこう叫んでいるかのようだ「なぜ天空を見つめているのだ、農夫よ。なぜ星を探し求めているのだ、村人よ。疲れた夜な夜ながお前に与えた眠りはすでに短くなった。さあ見よ、わたしはお前たちの植物の間にとくべつな星をばらまいた。そしてお前たちが日暮れになって仕事を終えようと首木を外すとき、お前たいにそれを見せるのだ。そしてお前たちの注意力を不思議なものによって刺激し、お前たちがそれを見逃さないようにするのだ。彼らの火のような輝きはたたまれた翅によって隠され、そして夜でも昼の光を運んでゆくのを見ないのか。わたしはお前たちに時をあらわす植物を与えた。そしてお前たちが太陽を見るために土地から眼をそらす必要がないように、ヘリオトロープやハウチワマメは太陽に調子を合わせて頭をめぐらすのだ。だとすればなぜお前らはいまだに高いところに眼を向け、天空そのものを見つめたりするのか。さあ、お前たちの足許にすばる星がある
                                プリニウス『博物誌』第十八巻
最終更新:2016年10月14日 23:43