最初悲劇というものは、人生途上の出来事を人に思い出させるために演ぜられたものであった。またこういう出来事は自然にこういうふうに起こるものであることを示し、舞台の上で演ぜられることが諸君を魅了する以上、同じ事柄がもっと大きな舞台の上で起こったとしても、これを苦にしてはならない、ということを考えさせるためであった。なぜならば、舞台で見るところによれば、こういう出来事はこういうふうに起こらねばならぬことであり、「ああキタイローンよ!」と叫ぶ者といえどもやはりこれを耐え忍ばねばならないのである。
マルクス・アウレリウス『自省録』