心臓(引用)

心臓――至高の主の工夫し給いし、驚嘆すべき器械。
                                『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記』


心臓は元来生命の源ではなく、他の筋と同じく、動脈や静脈によって養われ活動せしめられる厚い筋で作られた一個の水盥である。まことにその中で清められる血液と大動脈とが他の筋の生命であって、またそれは本当に火すらほとんどそこないえないほどの厚さをもっている。このことは焼死人に見られる。すなわちかれの骨が灰と化した後もなお心臓の内側は血みどろである。そして自然がこれほどまで熱にたいする抵抗力を賦与したのは、その心室で希薄化される大動脈の血液によって心臓の左側に発生する大きな熱度に耐えることができるためである。
                                『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記』
最終更新:2016年10月29日 03:46