椀貸伝説

  • ティルベリのゲルウァシウス『皇帝の閑暇』
   →イングランドのグロスター伯領のとある森では、もし誰かが一人で迷い込んで、
   その場所で誰かに話しかけるように「のどが渇いた」と言うと、にこやかな熟達した酌人が現れ、
   古代イングランド人の習慣そのままに、宝石で飾られた金の大盃を差し出して
   芳醇な甘露(神酒)を飲ませてくれるという。給仕が終了すると、何も言わずに消えてしまう。
   ある時、一人の騎士がこの盃を受けたあと、豪奢な盃を返さずに自分用にくすねとってしまって以来、
   この酌人は現れなくなったという。グロスター伯がこの事実を知ると、盗人は死罪に処されたとか。
(zsphereコメント:盃を返さない不義のためにやり取りが無くなってしまうという経緯に、
          日本の椀貸伝説との類似性を感じるのでメモ)


      参考文献
『西洋中世奇譚集成 皇帝の閑暇』ティルベリのゲルウァシウス



最終更新:2016年11月07日 03:21