「おまえ”お山”とお言いじゃが」と、女王様が口を挿みました。「おまえに山とはどんなものか見せてやりたいわい。それに比べれば、これなど谷というにすぎぬ」 「そんなこと、ありません」びっくりしてアリスはとうとう女王様に口答えしてしまいました。「山が谷だなんてはずがないですわ。そんなナンセンスなことって――」 女王様は頭をふりました。「これをナンセンスと言いたくばお言い。じゃがわしの知っとるナンセンスに比べれば、これなどまるで字引きのごとくまともじゃぞ!」 ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』