箒(引用)

ベン・バルベンの海側の斜面の、ちょうど麓にあるグランジ村で奉公していた少女が、三年前のある夜、とつぜん姿を消した。妖精が少女を連れ去ったのだと噂され、あっというまに騒ぎはその近くのあたりに拡がった。ある村人が少女を妖精たちに渡すまいとして、必死に抱きとめていたが、けっきょくは妖精たちの力が優り、村人の腕の中には箒の柄だけが残っていたという。
                                     イエイツ『ケルトの薄明』
最終更新:2016年12月06日 04:03