船橋の上に立っているときや、甲板室から外を見ているときには、神や世の中のことをいつもより考えるものだ、とある船長は言う。はるか谷あいのトウモロコシや雛げしの花々の中にいれば、顔に降りそそぐ陽光の暖かさや、生け垣の下のやさしい影のことなど忘れてしまうものだ。しかし嵐や暗闇のなかをくぐりぬけ、旅をつづけた人ならば、たぶんそうした事を考える必要があるのだろう。 イエイツ『ケルトの薄明』