そのうてなの中をのぞき、黄いろい不思議な低い木立ちの間を縫い、ほの暗くなる花の内部へ向かって、この明るい夢想的な小みちを、物思いにふけりながらひたむきに追って行くと、彼の魂は、現象がなぞとなり、見ることが予感となるあの門の中をのぞきこむのだった。 ヘルマン・ヘッセ「アヤメ」(『メルヒェン』所収)