神秘につつまれた部分も、まだこの時には隠されてはいなかったが、それもまだ妙にうしろめたい羞恥心というものがなかったからだ。自然の造りだしたものを恥じる不純な「羞恥」よ、不面目きわまる「面目」よ、罪から生まれたお前たちは、またなんと永い間本物のかわりの見せかけで、うわべだけ純潔にみえる単なる見せかけで、全人類を悩まし、人間の生活から人生最高の幸福を、純真さと汚点のない清浄さとを、奪い去ってきたことか! ミルトン『失楽園』