微細科学(引用)

事物の周囲をつつむよりは、その中心へ達するほうがはるかに可能だと、われわれはおのずと考える。世界の目に見える広がりは、目に見えてわれわれを超越する。しかし、小さいものは、それを超越しているのがわれわれなのであるから、われわれはそれを所有するほうがはるかに可能であると考えている。しかしながら、虚無に達するためには、万有に達するのと少しも劣らない能力を必要とするのである。そのいずれに達するためにも、無限の能力が必要である。そして、もし事物の究極の原理を理解した人があるとするならば、その人は同様に無限を知ることにも到達しえたであろうと私には思えるのである。一は他に依存し、そして一は他に導く。これら両極端は、相遠ざかるあまりに相触れ、相合し、そして神のうちで再会する。しかもしれは、神のうちにおいてだけである。
                                     パスカル『パンセ』
最終更新:2017年04月26日 01:22