レストラン(引用)

最後に料理店主というものが現れた。それは全く新しい商売であって、従来人が夢にも考えたことのないものだったが、たちまちに一般に普及した。その結果、今ではどんな人であろうと三ピストルか四ピストルを持っていれば、即座に、間違いなく、御馳走にありつくことができるようになったのである。
                                      ブリア・サヴァラン『美味礼讃』

今お話をした時期すなわち一七七〇年以前には、お金があり権力のある人たちだけが、二つの大きな特権をほしいままにしていた。すなわちかれらは迅速な旅ができ、また始終御馳走が食べられたのだ。
五十里の旅を二十四時間でするという新式な車のできたことは、第一の特権をなくした。料理店のできたことは第二の特権をなくした。このおかげで御馳走が民衆のものとなったのである。
                                      ブリア・サヴァラン『美味礼讃』
最終更新:2017年06月05日 23:25