- 約5000年前、まず環状の堀と土塁が造られ、内部にはおそらく
環状の木柱列があったものと思われる。
その後の1000年間のうちに巨石が運び込まれた。
- 石の並びの中心軸は夏至の日の出と冬至の日没の方角を結ぶ線と一致している。
- 外側の石はサルセン石(砂岩の一種)で、おそらくは30km 離れた
マールボロ・ダウンズの採石場から運ばれたと思われる。
内側にはブルーストーン(粘土質の砂岩)が馬蹄状に配置されているが、
これは240km ほど離れた南ウェールズの山地から何らかの方法で
持ってこられたものという(この石板は1枚が4トン近い重さ)
- 内側のブルーストーンはかつて約80個ほど建てられていたと推測されているが、現存しているのは43個。
- 近年の調査により、内側に立てられているブルーストーンの切り出された採石場が特定されている。
ウェールズ、ペンブルックシャー北部のプレセリ山地で、
この一帯はブリテン諸島の中で唯一まだら模様の
ドレライト(粗粒玄武岩)が見つかる場所で、
ストーンヘンジで見つかったものと共通しているという。
同採石場で見つかった木炭や
クリを炭素年代測定にかけたところ、この場所が使われていたのが
大体5200~5400年前であることが判明。これはストーンヘンジが建造された時期と数百年ずれて古いため、
ストーンヘンジの石がどこか別の場所で何らかの用途に使われていたものの再利用である可能性も指摘されているとか。
- 1925年航空写真により、付近からウッドヘンジと呼ばれる円形の構造物が発見される。
建造はストーンヘンジやダーリントンウォールズの数百年後と思われる。
- 2007年、ストーンヘンジから北東に3km ほどの地点、ウッドヘンジの近くに
人工の囲い地「ダーリントンウォールズ」という先史時代の集落跡が発見された。
この種の集落跡としては英国で最大という。
超高精度の放射性炭素年代測定により、この集落に人が住んでいた期間は
45年足らずとの結果が出ており、ストーンヘンジ建造者の宿舎だったのではないか
との説も出ているという。
このダーリントンウォールズの円の中に、木柱が同心円状に並んだ別のヘンジが発見され、
「サザンサークル」と名付けられた。ダーリントンウォールズの中で
夏至の日没の位置をマークするような場所にあるという。
- ストーンヘンジとダーリントンウォールズの双方からそれぞれ3km ほど離れた、
エーボン川のほとりに、25個のブルーストーンからなるサークル「ブルーヘンジ」が発見される。
ブルーストーンの石板は既になかったが(ストーンヘンジに運ばれたとみられる)、破片は見つかり、
またここで採取された微量の炭を分析した結果、その建造時期が
約5000年前であると判明。
これを発見した考古学者(Mike Parker Pearson)はここを火葬場と見ているという。
- 2002年、ストーンヘンジから約5km 離れたエームズベリーで青銅器時代の墓が見つかる。
紀元前2300年ごろのもので、埋葬者は豪華な副葬品とともに葬られており、
弓を携えていたことから「エームズベリーの射手」と名付けられたとか。
この男の骨の分析結果から、片足の膝から下が失われ、そこから骨の内部に
感染が進んでいたことが確認された。
一方、男の歯のエナメル質から、この男が遠く離れたアルプス出身であることが分かった。
そのため、ストーンヘンジが病気平癒の効能を持つと信ぜられていたのではないか、
という説も出ている。
- 2010年、ストーンヘンジから北西約900メートルの地点に、木柱サークルの跡と
見られる遺跡が発見されたという。
- ストーンヘンジとエーボン川を結ぶ道(アベニュー)は人工のものではなく、
氷河期に刻まれた自然の溝だったとみられる。
- 1600年頃、ストーンヘンジで人骨が発見されている。
しかし当時の教会により、骨の掘り出しは禁じられた由。
- ストーンヘンジを取り巻く土手と溝の内側に沿って、直径0.8m ~ 1.8mほどの穴が
56個あけられているのを、1660年代に考古学者ジョン・オーブレーが発見。
その名前をとって「オーブレーの穴」と名付けられた。
- 宇宙物理学者G・ホーキンズは、「オーブレーの穴」の数である56という数字が
月食現象の56年周期と一致している、と主張しているとか。
同氏はストーンヘンジを太陽や月の観測に用いられたと唱えている。
- 2014年、ストーンヘンジ周辺12平方キロを地下3メートルまで、最新の磁気探知機や地中探知レーダー、
電磁センサー、三次元
レーザースキャナーを使用して調べたところ、
ストーンヘンジを囲むように17の構造物、数十におよぶ埋納塚が観測された、と公表された。
これらは6000年前の建造物であると見られるという。
またダーリントンウォールズを同様の手法で調査した結果、高さ最大3メートルの柱や石が最大で60個
置かれていたらしい事が判明した、という。
- ティルベリのゲルウァシウス『皇帝の閑暇』は、ストーンヘンジは「巨人たちのカロル」と呼ばれており、
アーサー王伝説で有名な魔術師
マーリンが、アイルランドのチルダード山にあったこの遺跡を
移動させたこと、そして魔術を用いて中空に石の塔を吊るしたことがよく知られている、と記している。
参考文献
『巨石文化の謎』ジャン‐ピエール・モエン
『西洋中世奇譚集成 皇帝の閑暇』ティルベリのゲルウァシウス
『日経サイエンス 2011年6月号』
AFP通信2014年9月11日記事
ナショナルジオグラフィック 2015年12月10日記事
最終更新:2016年11月02日 02:09